重加算税が賦課される4つのデメリット
※2017年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
重加算税を賦課したい調査官。
もちろん、自身の評価を上げるためですが、
本来は重加算税でもないのに、重加算税と
指摘されて適正に反論できないことが問題です。
調査官が重加算税を課すためによくいう言葉は、
「重加算税を受け入れたら調査は終わりますよ」
(他の部分はもう見ませんよ)
「(繰欠があって)本税がでないので
重加算税になっても納付額はありません」
という誘い(?)です。
さて、税務調査において、重加算税を賦課される
デメリットは大きく4つあります。
これら全てのデメリットを顧問先に伝えて、
それでも顧問先が重加算税を受け入れる、
というのであればまだしも、これらを伝えずに
重加算税を安易に受け入れるのは相当な問題です。
下記、4つのデメリットを列挙しますが、
(1)(2)は現時点での金銭的デメリット、
(3)(4)は将来にわたるデメリットです。
(1)加算税が高くなる
過少申告加算税であれば10%で済むものが、
重加算税となれば35%となり、本税(増差税額)に対して
25%の加算税額が余計に課されることになります。
(2)延滞税が高くなる
修正申告となっても、重加算税を賦課されない
(通常の)場合、延滞税の計算は「計算期間の特例」
が適用されており、結果として延滞税は
原則計算より少額で済んでいます。
「No.9205 延滞税について」
3 延滞税の計算期間の特例
https://www.nta.go.jp/taxanswer/osirase/9205.htm
裏を返せば、重加算税になれば延滞税の
特例計算がされないため高くなります。
※上記URLにある記載の通り、「偽りその他不正の行為
により国税を免れた場合等を除き、次の場合には
一定の期間を延滞税の計算期間に含めないという特例が
あります。」が正しい理解で、「偽りその他不正の行為」
と「重加算税」は異なる定義なのですが、実務上は
重加算税賦課⇒延滞税が原則計算となる(高くなる)
とされています。
3年分の修正申告+重加算税であれば、延滞税はさほど
高額にはなりませんが、7年分の場合、原則計算をすると
延滞税はかなり高額になりますので要注意です。
(3)将来の調査頻度が上がる
相続の調査であれば基本的に関係ありませんが、
法人・個人事業主の調査であれば、重加算税を
賦課された事績があるだけで、将来的な
調査の頻度は確実に上がります。
国税は「過去の重加算税賦課事績がある」
ということで、調査選定対象にしており、
その周期を「3〜5年」とするとしています。
(4)重加算税の加重措置がある
平成28年度税制改正により、重加算税の
加重措置が設けられることになりました。
重加算税を賦課された者が、過去5年以内に、
その税目で税務調査に基づく無申告加算税または
重加算税を課されている場合には、さらに10%の
加重措置を受けることになったものです。
平成29年1月1日以降に申告期限が到来する
国税から適用になりますが、今年受けた(受ける)
調査であれば、該当する申告が存在するケースも
多いはずです。
なお、(3)と(4)において共通に言えることは、
【重加算税が課税された事績があること】
であって、賦課された額は関係ありません。
冒頭のように、欠損・繰欠等があって
増差所得が発生しても税額が発生しない
ケースであっても、(3)と(4)の
デメリット・リスクは将来的に発生します。
重加算税を容易に受け入れてはならない
本当の理由をぜひ知っておいてください。
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