重加算税と無申告課税の境界線
今回のテーマは、『無申告加算税』についてです。
先日、こんなニュースが報道されていました。
メディアでお馴染みの脳科学者の茂木健一郎氏が東京国税局の
税務調査を受け、2008年までの3年間の所得の申告漏れを指摘されました。
3年間の著書の印税をはじめ、テレビの出演料や企業や大学などで
行われた講演料など、一切申告をしていなかったようです。
茂木氏は期限後申告に応じて、既に無申告分の納税を済ませ
近く無申告加算税分も納付するとしています。
彼は、新聞社の取材に対して
– 「2,3年前に本や講演などの雑所得が自分で申告するスケールを
超えてしまった。地元の税務署の人には早くした方がいいと
言われて、「します」と答えていたが、仕事に追われて、
全然、書類の整理ができずに、申告する暇がなかった。」-
と答えています。
某企業のシニアリサーチャー(上席研究員)として、
年間に約1,000万円の給与所得のほか、著書の印税、
テレビの出演料や講演料を合わせると4億円近い雑所得が
あったと言われています。
本来であれば、給与所得と雑所得を合算して納税額を確定させ、
居住地の税務署に確定申告する必要があります。
ところがこの3年間、全く申告を行わず、源泉徴収分を除いた
所得税1億数千万円を納税していませんでした。
銀行には数億円の預金があったとか…
ここで注目したいのが、『重加算税』ではなく
『無申告加算税』となっているとこです。
隠蔽や仮装があった場合、増加の本税に対して
35%の税率の『重加算税』が適応されます。
しかし、「単に仕事が忙しかった」「納税する暇がなかった」
というのは、仮装や隠ぺいには当たらないという判断で、
15~20%の税率の『無申告加算税』の扱いになったことです。
以前にもこのメルマガで申し上げましたが、日本の税制は、
「納税者が自分で申告して、自分で納める」申告納税制度です。
それにしては、脳科学の権威と言われているにも関わらず、
納税に対する意識があまりに低いとは驚きです。
著名人は、このように報道されることによって
多少のイメージダウンにもつながります。
これらの報道は、これを機に一般の方にも納税に対する意識を
高めて欲しいという税務署側の警告の意味もあるようですが。
「節税には興味がないので、(国税当局が)税額を計算してくれたら
楽なんですけど…」とは、あまりにお粗末なコメントですね。
※『無申告加算税』は、納付ずべき税額のうち50万円までが15%
50万円を超える部分は20%の割合となります。
(平成17年分以前は一律15%、平成18年以降は上記のとおり)
※2009年11月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。