重加算税は形式要件
今回のテーマは『重加算税は形式要件』
まず、重加算税の制度は「罰則」「罰金」なのではなく、
あくまでも申告納税制度を担保するための制度です。
つまり、申告納税制度においては税務調査という
課税庁の確認がなかったら過少申告・無申告が横行すると
想定できるのですが、税務調査があっても、たとえば
資料等を破棄したり、改ざんしたりすれば税務調査の
意味や意義は没却されてしまうわけです。そのために、
重加算税という制度を作っているわけです。
だからこそ、重加算税の要件は「形式的な要件として」の
「隠ぺいまたは仮装」だということです。
国税通則法第68条(重加算税)
第65条第1項(過少申告加算税)の規定に該当する場合において、
納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき
事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、
又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、
当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、
当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を
乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
つまり、どんな悪いこと(不正行為)をやっていても、
「隠ぺい」=何かを隠す
「仮装」=あるものを改ざん等する
のどちらかの行為を行っていなければ、
重加算税が課されることはないのです。
(実務上課されているとすれば、それは
税務調査の対応が間違っているだけです)
不正があったから重加算税ではなく、
隠ぺいや仮装という、形式的に判断できる
行為を行ったから重加算税が課されるわけです。
また、国税通則法第70条の「偽りその他不正の行為」
と「隠ぺいまたは仮装」が混同して解釈されている
ケースが多いので、この点は特に注意が必要です。
最後になりますが、重加算税の要件を厳格にとらえ、
また「隠ぺいまたは仮装行為の立証責任が調査官にある」
ことを明示した裁決がありますので、ぜひ参考にしてください。
「重加算税の賦課要件を充足するためには、過少申告行為とは別に
隠ぺい又は仮装と評価すべき行為の存在を必要としているものであると解されるところ、原処分庁は隠ぺい又は仮装であると評価すべき
行為の存在について何らの主張・立証をしておらず、
隠ぺい又は仮装の事実を認めることはできないとした事例」
http://www.kfs.go.jp/service/JP/54/07/index.html
重加算税の要件を「隠ぺいまたは仮装」行為をしたのか
どうかだけの「形式要件」としてとらえてしまえば、
実務上重加算税の対応は容易になるはずです。
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2012年7月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。