重加算税は言葉によって変わる!?
(2013年5月22日 配信記事)
さて、税務調査の手続きが大きく変更になったことに伴い、
調査官の対応も非常に大変になったようです。
特に、調査官が臨場調査で納税者と話した内容を
調書(聴取書)にしなければならない、というもの。
これについては、各国税局ごとに温度差はあるようですが、
話した内容を書き起こして、内容に間違いがないか
確認するのは、それだけでも大変な作業です。
そして、この調書の中にワナがある場合もあり、
税理士としては今後特に気を付けなければなりません。
それは・・・言葉によって重加算税になる可能性がある、
という事実なのです。
「漏れ」と「除外」の違いを認識していますか?
売上の「漏れ」となれば過少申告加算税ですが、
売上の「除外」となれば重加算税です。
言葉遊びのようですが、これが事実なのです。
「えっ!?なんで??」と思われた方は危険です。
言葉というのは厳密です。実際に法律がそうです。
ですから、「漏れ」と「除外」は違います。
「漏れ」であれば「うっかりミス」ですが、
「除外」であれば「わざと抜いた」のです。
これだけで重加算税かどうかが変わります。
ですから、税務調査において
調査官:「この売上は除外ですね!?」
と言われたら、
税理士:「いえ、売上の計上漏れですね」
と言葉を置き換えていくのです。
調査官が重加算税にするための言葉はこのようなものです。
「除外」「脱漏」「不正」「故意」
重加算税にならないためには、
次のような言葉を使って置き換えていくべきです。
「漏れ」「ミス」「エラー」「うっかり」「勘違い」
くだらないと思われるかもしれませんが、
調査官が調書を書いて、その中に「売上除外」とあり、
その調書を納税者が認めたということは、
売上加算に対する重加算税を認めたということです。
逆に言えば、書面の中に「売上漏れ」とあれば、
重加算税にはなりません。
税務署からすれば、本人が「わざと」やった不正であれば
重加算税を課すことができると考えています。
(これがまた法律要件とは違うのが問題なのですが)
調査官が「わざと」を主張・証明する最も簡単な方法は、
「本人がわざとやったと認めること」なのです。
ですから、調書には上記の言葉を使いたがります。
確かに法律要件は「仮装隠ぺい」であって、
上記のような言葉が重加算税の要件ではありません。
しかし、実務上はこのような言葉の使い方によって
重加算税が課されるかどうかが決まってしまいます。
税務調査の正しい対応方法とは、法律を正しく
主張するだけではなく、言葉の定義まで把握し、
課税庁が有利になるような文言を、その場で
訂正することまでを含んでいるのです。
特に、調書に書かれている言葉には注意してください。
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