重加算税3つのデメリット
さて今回は、重加算税の反論の仕方ではなく・・・
重加算税のデメリットを書きたいと思います。
重加算税が課された場合、納税者が被る
「本当の」デメリットが理解できてないと、
「まあ重加算税でもしょうがないよね」となりがちですし、
現実がそうだからこそ、重加算税の賦課率が高い
(法人税20%弱)ものと考えています。
重加算税には大きく3つのデメリット
(一部の法人は4つ目も)があります。
①加算税率
非常に当たり前ですが、税務調査の結果として
修正申告をすれば、加算税は通常10%ですから、
重加算税35%となることで、本税の25%分
が上乗せの追徴税額として支払う必要性があります。
②延滞税
通常の加算税の場合、延滞税の計算は「計算期間の特例」を
使うことになっています。詳細な説明を省略しますが、
3年前の修正申告を提出しても、3年分の延滞税が
課されるわけではなく、1年分の計算になります。
しかし、重加算税が課された申告期間については、
この「計算期間の特例」の適用がありません。
根拠・計算方法など詳しくは、下記の
国税庁サイトをご覧ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/osirase/9205.htm
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/nofu-shomei/entaizei/entai.html
※なお、ここにいう「偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等」
と、重加算税は違う定義なのですが、実務上は「重加算税=特例適用なし」
とされていますので、延滞税が増えることになります。
今年から延滞税率が下がりましたが、
それでも計算期間の特例がなくなるだけで、
5期前や7期前の修正申告ともなると、
延滞税の差額が相当な金額になりますので要注意です。
ここまでの2つが、納付税額増加のデメリットです。
つまり、お金の話はここまでで、
それ以外のデメリットもあるというわけです。
③税務調査に入られやすくなる
国税は過去に重加算税を課された法人および個人事業主を
中心に、税務調査先の選定をすることにしています。
簡単にいえば、「過去に不正をした納税者はまた不正する」
から税務調査で狙うというわけです。
これは、重加算税が課された額で判断されるわけではなく、
課されたという事実のみで判断されます。
繰欠があるなど、修正申告したが本税が0円、重加算税が0円
であったとしても、重加算税が課された履歴があると、
以後税務調査に入られやすくなるというわけです。
4つ目は若干特殊な例ですが、
④2年は上場できなくなる
重加算税が課されたということは、脱税と
同じ扱いということで上場基準に抵触します。
上場を狙っている法人は、重加算税を課されてしまうと、
以後2年間は上場することができないと規定されています。
上場を狙っている法人は要注意です。
最後に、なかなか理解されていないことなのですが、
修正申告を提出していたとしても、加算税部分は
(修正申告とは別の)処分ですので、重加算税部分だけで
不服申立てをすることができます。
とにもかくにも、重加算税を課されるデメリットは
加算税部分が25%だけ多くなると考えていると、
それ以外のデメリットで痛い目にあうことが往々にしてあります。
だからこそ、安易に重加算税を受け入れない、
ということが大事というわけです。
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※2014年5月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。