重点管理対象法人とは?
※2015年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
先日、現職の国税調査官(同期)と飲んでいた際に、
「今は調査手続きが面倒だから、年越し事案が
多くて大変なんだよ」とボヤいていました。
確かに、毎年年越し事案が増えているような気がします。
重加算税が課されるような事案は、年越しになっているケースも
多いかと思いますが、いつもメルマガで書いている通り、
重加算税には3つのデメリットがあります。
①加算税が10%ではなく35%になる
②延滞税の除斥期間の特例がないため延滞税が高い
そして・・・
③第3グループに分類される
第3グループとは、KSK(国税総合管理)システム上、
過去に重加算税を課されたなどの理由で区分される対象で、
簡単にいえば、「過去に不正をした法人だから
税務署が目をつける」というものです。
第3グループの法人は、別名「重点管理対象法人」
と呼ばれており、定義としては
「継続的な情報収集の実効性を確保するため、
重点管理対象法人を3年以内に調査を行う法人と位置付け」
(平成26事務年度8月期全管法人課税関係統括国税調査官会議
(資料第3号) 平成26年8月5日 大阪国税局法人課税課、
消費税課、酒税課 法人課税部門における留意事項より)
とされています。実際のところは、3年以内とは
言わないまでも、5年以内には調査選定されることになります。
これはあくまでも原則論ですが、過去に重加算税を
課されたという歴があるだけで、3~5年に1回
調査される対象法人になるということです。
私も知らなかったのですが、第3グループから
通常の区分に戻る基準というものが存在しました。
個別通達「重点管理対象法人」の管理要領について(指示)
東京国税局長 平成16年6月18日
には、下記のように記載があります。
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4 重点管理対象法人の見直し
(1) 指定解除基準
重点管理対象法人が、次のいずれかに該当することと
なった場合には、指定を解除する。
イ 原則として連続する2回の実地調査の結果、不正計算が
把握されず、代表者の納税意識あるいは法人の経理体制等
から判断して、今後不正計算を行うことが想定しがたい法人
ロ 休業・清算中であるなど申告事績から判断して明らかに
管理の必要がないと認められる法人
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上記ロは理解できますが・・・
イは「第3グループであっても、その後2回連続
申告是認だったら普通の区分に戻す」と読めますが、
そんなことが実行されているのでしょうか。
私がこのルールを知らなかったくらいなので、
国税内部では周知されていないのでしょう。
また、上記の疑問をOB税理士のみならず、
現職の調査官に聞いてみましたが、
「ほとんど実行されていないのでは」
ということで意見が一致しました。
ルールはあっても、現場の調査官が区分を変えない限り、
第3グループであることは変わらない、
というのが税務署の実態です。
一方で、上記は個別通達(東京局ですが)ですから、
過去に重加算税を課された顧問先で、直近の
調査で問題がなければ、
「内部通達で、第3グループから区分を変える(戻す)
基準に該当しますよね。ちゃんと区分を変えてください」
と言ってみるのも、1つの方法です。
重加算税を安易に受け入れるということは、
「以後頻繁に税務調査を受ける」ということに
等しい、ということはきちんと認識しておくべきです。
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