電帳法に関する重加算税の規定:法人税・所得税
※2023年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
早いもので令和5年も年末となり、水曜の本メルマガも
今週と来週の残り2回となりました。
さて、電子帳簿保存法の正式施行を年明けに迎えることから、
【電帳法に関する重加算税】の規定を解説します。
今回は法人税・所得税の規定、来週は消費税の規定です。
冒頭から結論を書いておきますが、電磁的記録に関して
隠蔽・仮装行為があった場合は、重加算税が10%加重されます。
重加算税:35%(国税通則法第68条第1項)
加重される重加算税:10%
=45%
になるわけですが、過去5年以内に重加算税を課されている場合、
10%の加重措置(国税通則法第68条第4項)があるので、
この過重分まで加味すると、重加算税は最大で55%となります。
「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf
上記が結論ではあるのですが、これらに関して
根拠条文(通達)およびその整理を明示しておきましょう。
まず、法人税・所得税に関しては、この過重措置に関して
規定はされておらず、電子帳簿保存法に規定されています
(消費税に関しては、来週水曜の本メルマガで解説します)。
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の
保存方法等の特例に関する法律 第8条第5項
第四条第三項前段に規定する財務省令で定めるところに従って
保存が行われている同項に規定する国税関係書類に係る
電磁的記録若しくは同項後段の規定により保存が行われている
当該電磁的記録又は前条の保存義務者により行われた
電子取引の取引情報に係る電磁的記録に記録された事項に関し
国税通則法(略)同法第六十八条第一項から第三項まで
(重加算税)の規定に該当するときは、同条第一項から第三項
までの重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定に
より計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に
百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
また、過去5年以内に重加算税が課された場合の
10%加重措置と、電帳法における加重措置が重複適用される
ことに関しては、電帳法通達に規定があります。
電帳法通達8-23(電磁的記録に係る重加算税の
加重措置と国税通則法第68条第4項の重複適用)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/030628/pdf/01.pdf
法第8条第5項((電磁的記録の記録事項に関連した仮装・
隠蔽の場合の重加算税の加重措置))の規定の適用がある場合
であっても、国税通則法第68条第4項((短期間に繰り返して
無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の加重措置等))
の規定に該当するときは、重加算税の加重措置について
重複適用があることに留意する。
なお、電帳法に関する重加算税の加重措置の範囲
(隠蔽・仮装がどの範囲か)ですが、電磁的記録を直接
改ざん等する場合のみならず、紙段階で不正があった場合や、
通謀等によって相手方から受領した架空の請求書等を保存
している場合も含まれるとされています(電帳法通達8-22
:重加算税の加重措置の対象範囲)ので注意してください。
来週水曜の本メルマガでは、電帳法に関する重加算税の規定
について、消費税はどうなっているのかを解説します。
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