処分を嫌がる税務署職員の実態
※2014年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
セミナー後の懇親会で、ある税理士さんがこういう経験談・相談をしてきました。
税務調査で青色の取消しを受けて、2年後に青色の承認申請を出したところ、税務署から電話があったそうです。
「過去に青色の取消しを受けた納税者は、しばらくの間青色にすることができないので、取り下げしてほしい」
この税理士は「そうなんだ」と思って、つい先日実際に取り下げをしたそうですが、実際にはどうすればよかったのか、という内容でした。
非常に残念なことではありますが、税務署の職員はできるだけ「取り下げ」をさせようとします。取り下げさせたい理由としては「処分をするのが面倒だから」。
青色の承認申請を却下するには本来、税務署が却下の通知書を発行しなければなりません。これは不利益処分ですから、税務署職員は理由の附記も書かなければなりません。
しかも、納税者が処分(青色承認の却下)に不服がある場合、納税者は不服申立てをすることができます。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf2/040.pdf
税務署の職員は、処分をする場合、税務署内の決裁が必要になりますが、一方で、取り下げということになれば、何もなかったのと同じですから、処理すべき件数は減るだけで、不服申立てにもなりません。
これは何も青色承認の却下だけの話ではありません。典型的な例でいえば「更正の請求」も同じです。
更正の請求は、法的な要件として
①計算に誤りがある場合
もしくは
②法律の規定に従っていなかった場合
のどちらかが必要になるのですが、この要件に該当しない、もしくは要件には該当するが、還付するための根拠に乏しいような場合は、税務署職員は取り下げを要求してきます。
税務署が更正の請求を却下する場合、本来の手続きは「更正をすべき理由がない旨の通知」をしなければなりません。(国税通則法第23条第4項)
これも、納税者に対する不利益処分ですから、税務署は理由の附記をしなければなりませんし、納税者は不服申立てをすることができます。
しかし税務署の実務上は、却下の通知などをせず、電話で取り下げを迫ってきます。
取り下げしてもらうには、税務署内の決裁も不要で、税務署の担当者が独断ですることができます。
税務署から連絡があって取り下げを要求されても、安易に応じてはなりません。
税務署職員の独断ですから、根拠や理由の説明を求め、それに対して主張・反論することができれば、青色の承認申請や更正の請求が通ることも多々あります。
まずは、取り下げを求める明確な理由を聞くこと。それでもあきらめずに、交渉を続けること。
取り下げを求める税務署職員の本音はただ処分するのが「面倒」なだけなのですから。
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