• HOME
  •  › ブログ
  •  › 青色申告取消しの法的要件
2022.11.18

青色申告取消しの法的要件

※2021年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に
理解する内容を連載で解説していますが、
今回は「青色申告取消し」に関して解説をします。

なお、金曜の本メルマガでは今年3月から
税務調査を解説してきましたが、年内(残り4回)で
このシリーズを終わりにします。年明けからは
別テーマ(資産税関連)を取り上げる予定です。

青色申告の取消しに関しては、根拠条文として
法人税法第127条と所得税法第150条があります。
要件としてはほぼ同じになりますので、
今回は法人税法のみを取り上げます。

法人税法第127条(青色申告の承認の取消し)
第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けた
内国法人につき次の各号のいずれかに該当する事実が
ある場合には、納税地の所轄税務署長は、当該各号に
定める事業年度まで遡って、その承認を取り消す
ことができる。この場合において、その取消しが
あったときは、当該事業年度開始の日以後
その内国法人が提出したその承認に係る青色申告書は、
青色申告書以外の申告書とみなす。

各号の要件を解説する前に、まず理解すべき論点は
「事業年度まで遡って、その承認を取り消す」
という規定から、たとえば5期前に要件を満たし
青色取消しとなれば、5期分すべて白色申告に
なってしまうということです。該当する期だけでは
ありませんので、注意が必要になります。

それでは、青色取消しの要件を見ていきます。
なお、二号の要件は実務的に出てこないことから
省略し、また三号と四号を入れ替えて説明します。

一 その事業年度に係る帳簿書類の備付け、
記録又は保存が前条第一項に規定する財務省令で
定めるところに従って行われていないこと

これは青色申告の要件となっている帳簿書類が
作成されていない、さらには帳簿書類があっても
税務調査で提示しないことまで含まれています。

なお、本メルマガの本題ではありませんが、
電子帳簿保存法の改正により、メール添付された
請求書・領収書などを電子保存していないと
青色取消しになる」という指摘はこの条文に
該当する可能性が根拠かと推察されます。

この点については、11月17日に配信した
「電帳法対応していない=損金不算入/青色取消のウソ」
を参考にしてください。

四 第七十四条第一項(確定申告)の規定による
申告書をその提出期限までに提出しなかったこと

これは法人税法にのみ規定されている要件で、
実務上では法人が「2期連続」で期限後申告
もしくは無申告であった場合、青色取消しとなります。

三 その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は
一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録し、
その他その記載又は記録をした事項の全体について
その真実性を疑うに足りる相当の理由があること

税務調査で往々にして問題になる、
重加算税が賦課=青色取消しという論点ですが、
この条文規定からわかる通り、帳簿書類に
仮装・隠ぺいがあることだけが要件ではなく、
あくまでも帳簿書類等に「記載又は記録をした
事項の全体についてその真実性を疑うに足りる
相当の理由がある」ことが要件となっています。

この論点は事務運営指針を参照しなければ
基準を明示できませんので、来週金曜の
本メルマガで詳細に解説することにします。

税務調査において調査官から「青色取消し」と
指摘されても適正に反論できないのは、
上記の法律要件を理解していないからです。

当然ながら、青色申告には承認の規定も
取消しの要件もありますから、今回はまず
青色取消しの法的要件を理解してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。