領収書の名義が相違・存在しない場合は重加算税なのか?
※2016年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
この時期になると、重加算税の指摘を受けたことに
対する反論の質問・相談が多くなります。
論理的に考えれば、重加算税ではないことが
明白である調査事案も多くあります。
例えば、領収書に存在しない社名・住所・電話番号
などが記載されているケース。
ある風俗店などでは、領収書をもらうと
・店名:(事実とは違う)それらしい店の名前
・住所:(事実とは違う)駐車場用地
・電話番号:不通(使用されていない)
などの情報が載っていることがあります。
もちろんですが、納税者としては領収書をもらっただけ
なので、事実と相違しているという事実など
わかるわけもなく、税務調査の際に
調査官が調べてみて判明するというわけです。
この事実をもって「重加算税」と指摘されては
たまったものではありませんよね。
もちろん、領収書の記載内容について
「事実と違うことを書いて」と指示したのであれば
それは「通謀」に該当することになりますので、
重加算税が課されるのは当然の帰結だと思います。
しかしそのような通謀行為がない限り、
重加算税になりえるはずもなく、
調査官の主張内容を敷衍すると・・・
「じゃあ領収書を受け取った方が、記載内容が
正しいのか全チェックしないとダメなのか」
という論理になってしまいます。
これで重加算税になるはずがありません。
また、いまだ調査は結了していないのですが
下記の調査事案で重加算税と指摘されています。
・取引先であるA社に追加業務を依頼すべく、
協議の上、単発でお金を支払うことが決まった
・しかし契約書の締結先とその支払先は
A社ではなくB社であった
・B社はA社の社長が関わっているということを
知っていたので、B社に対して支払いをした
(詳しい経緯・理由などは聞かされていない)
・追加業務はA社とB社のどちらが
行ったのかはこちら側として不明だが、
その役務提供の実績と成果は実際にある
・調査官は「本来A社に依頼・支払うべきものを
B社に振込したので重加算税」と指摘
これも上記領収書の件と同じで、
支払った方は何の事情があってか知らずに、
あくまでも指定された口座に振り込んだわけです。
支払いに対する役務提供がされていないなら
お話になりませんが、依頼者側としては
役務提供してもらうことが目的で
支払いを行ったわけですから、指定口座に
振り込んだ側に非があるわけではなく、
問題があるとすれば、指定口座を別にした
A社とB社の方に非があるはずです。
調査官としては、資料・事実におかしい点があれば
調査先に対して「重加算税対象ですね」と
指摘してくるわけですが、取引先・相手方に
非がある場合にまで、重加算税の被害を
受けるわけではありません。
調査官の言いがかりにはぜひ注意してください。
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