領収書の甘いワナ?
今回は、『架空の領収書』がテーマです。
税金を減らすためには、売上を過少に申告するか
経費を過大に申告するかの2通りしかありません。
売上を操作することは、反面調査に発展した場合、
すぐに脱税が発覚してしまいます。
このためリスクの低い経費水増しが頻繁に行われるのです。
領収書に絡み、脱税を指南する『B勘屋』と呼ばれる請負業者がおります。
B勘とはそもそも調査官の隠語として使われていました。
調査官に見せる帳簿はA勘定で、裏の帳簿をB勘定と呼んでいました。
それが次第に架空の領収書自体をB勘と呼ぶようになり、
領収書を売る業者を『B勘屋』と呼ぶようになったのです。
元々の語源は芸能界における興行の取り仕切りに由来する言葉です。
このB勘定は、バブル時代に大いに活用されます。
土地価格が高騰したバブル期は、地上げ屋と呼ばれる業者が多数存在しました。
不動産の地上げには多額の経費が必要とされます。
一部の大手不動産の子会社でも地上げ屋を多数雇っていました。
腕のいい地上げ屋は、あちらこちらから声がかかるため
彼らを他所に行かせないために、多額の拘束料が必要となります。
大手不動産会社では、経理上の管理もしっかりしているため
名目が曖昧な資金は簡単に捻出できません。
そのためB勘屋が重宝されたのです。
地上げに使った資金を正規の経費のように見せるため
B勘屋から領収書を買うのです。
この領収書を会社で清算し、現金化して地上げ屋に支払っていたのです。
これらの業者は架空の領収書を販売しているですが、その手口は巧妙で、倒産した会社、休眠会社、架空会社の名義で領収書を発行します。
販売価格は額面の5%程度の金額が相場だとか。
たかが5%でも企業にとっては、大幅に納税額を減らす安い買い物です。
もっと極端な業者に「かぶり屋」と呼んでいるものもありました。
これは文字通り脱税の罪を被って雲隠れする業者のことです。
自ら倒産や夜逃げをした形をとり、発行した領収書の真偽をわからなくします。
赤字会社の経営者の多くは、B勘屋との付き合いも深く
赤字ゆえに税金の支払が必要ないと考えているため、
少しぐらいの金額なら領収書を発行しても目につかないと思っているのでしょう。
昨今ではネットなどでも簡単に見つかるようですが、
いずれにせよ非合法の行為であり、発覚した場合は厳しく罰せられます。
おととしには大阪の不動産会社がB勘屋行為をしたとして、法人税法違反と所得税法違反の罪に問われ、懲役1年2ヵ月罰金1千万円の実刑判決を受けています。
これらの行為は節税でも何でもありません。
安易に手を出し手はいけない例としてお話をさせて頂きました。
※2010年2月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。