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2019.03.05

類似法人の最高功績倍率の考え方

※2018年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「類似法人の最高功績倍率の考え方」ですが、

複数の判決を取り上げます。

「『平均功績倍率3.26×1.5=4.89』という功績倍率が妥当」

と判断した東京地裁判決(平成29年10月13日)につき、

国税が控訴していた事例があったことはご存知かと思います。

そして、東京高裁判決(平成30年4月25日)で、

国税の主張が認められたことは各税務雑誌でも報じられている通りです。

ちなみに、この事例における類似法人のうち、

最高功績倍率を示している法人の功績倍率は「4.31」でした。

このような場合、

〇そもそも4.31は3.26を超えているのだから、

 その法人の役員退職給与も過大額を含んでいる

〇当社だけが否認されるのはおかしい

という議論が展開されることがあります。

つまり、「平均功績倍率の考え方」です。

これはどう考えればいいのでしょうか?

まず、「平均功績倍率を超える=即それが過大額になる」

という考え方自体が間違っています。

参考判決として、仙台高裁判決(平成10年4月7日)があります。

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功績倍率の平均値に基づいて算出された相当額については、

類似法人の平均的な退職金額であるということはできるとしても、

それはあくまでも比較的少数の対象を基礎とした単なる平均値

であるのにすぎないので、これを超えれば直ちにその超過額が

すべて過大な退職給与に当たることになるわけでないのは当然
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だから、最高功績倍率が平均功績倍率をどの程度超えているか?

ということも1つの論点になる訳です。

さらに、話を深掘りしましょう。

札幌地裁判決(平成11年12月10日)では、

下記と判示されています。

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平均功績倍率法は、比較法人の退職給与のうちに、

本来否認すべきであったのに実際には否認しなかったものが

あり得ることを前提とするものであるところ(仮に、比較法人の

退職給与がすべて適正な額の範囲内であることを前提とするならば、

最高功績倍率法を用いるしかない。)、過去に本来否認すべき

であったのに実際には否認しなかった事例が存在するからといって、

否認すべきものを発見したときにこれを否認することを

妨げる理由は存在しないから、原告の右主張は採用することができない。
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だから、類似法人の中で実態としては不相当に高い功績倍率を

示している法人があったとしても、それはあり得ることを

前提にしているのが「平均功績倍率の考え方」なのです。

だから、結果として、冒頭で提起した問題はクリアされてしまうのです。

いかがでしょうか?

事業承継税制が拡充され、

ここ10年間は「役員退職給与を支払って株価を下げてからの贈与」

ということが盛んに行われる時代です。

役員退職給与に関しては俯瞰的な知識整理、理論武装が

求められる時代ですので、覚えておいてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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