食事の現物給与に関する課税
※2019年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
続けて「経済的利益」に絡む
源泉課税について解説していますが、今回は
役員ではなく従業員への現物給与として、
話がややこしい「食事の支給」について解説します。
なお、税務調査で否認指摘をされた実例に
ついては、また次に取り上げます。
使用者が食事を支給する、もしくは
食事代を負担する場合の源泉課税関係については
下記のタックスアンサーにまとまっています。
「No.2594 食事を支給したとき」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2594.htm
これらの通達等規定については、
実務上よく出てくるので知っている、
という方がほとんどなのでしょうが、
勘違いしている方も多い論点ですので、
いったん整理しておきましょう。
まず全体として、大きく下記に分類できます。
(1)食事の「現物支給」である場合
(2)食事代の「金銭支給」である場合
先に(2)ですが、食事代を金銭支給する場合、
・深夜(22時〜5時)の勤務者
・1回ごとに300円以下
の場合であれば、源泉課税をしなくて
いいと規定されています。
「深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて
支給する金銭に対する所得税の取扱いについて」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/840726/01.htm
裏を返せば、食事代の金銭支給については、
上記に当てはまらなければ、原則として
源泉課税が必要ということになります。
次に上記(1)の場合ですが、大きく
2つのケースに分けて考えることができます。
《1》 昼食等の食事支給
・本人が50%以上を負担
・使用者負担額が月3,500円以下
の場合であれば、源泉課税は不要になります。
《2》残業・宿日直の食事支給
残業(時間外勤務)や宿日直をさせた場合の
夕食または朝食を支給するときの食事は、
これらの勤務にともない追加的に必要となる
食事を使用者が提供するものであって、
実費弁償の観点から源泉課税は不要です。
一方、「使用者が従業員に食事を支給する」
というのはあまり現実的ではありません。
残業している従業員に、会社側が食事を
準備・手配できることはむしろ少なく、
現実的なやり方として、「残業時は
○○○円以内なら自分で食事を買ってきて、
実費精算すればいいよ」としている
会社の方が多いはずです。
これが「現物支給」なのか「金銭支給」なのか
税務調査ではよく問題になるわけですが、
これについては来週解説することにします。
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