• HOME
  •  › ブログ
  •  › 養子の数の算入制限に関する盲点2
2023.11.03

養子の数の算入制限に関する盲点2

※2022年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは前回に引き続き
「養子の数の算入制限に関する盲点2」です。

前回は、「法定相続人の数」につき
例外1として「養子の算入制限」の一部を検証しました。

今回は、例外2として「相続放棄」を検証します。

相続税の基礎控除については、
相続税法第15条に規定されています。

相続税法第15条第1項:
3,000万円+600万円×法定相続人の数

また、相続税法第15条第2項において
上記の「法定相続人の数」を規定しています。

原則:
民法第五編第二章(相続人)の規定による
相続人の数
→(相続放棄の検証)
民法上、相続放棄をすれば、
初めから相続人にならなかったものとみなされるため、
相続人が相続放棄をした場合、
相続人ではなくなります(民法939条)。

例外2:相続放棄した場合
相続放棄があった場合でも、
相続放棄がなかったものとした場合
における相続人の数

相続税法では、相続放棄をしても
相続放棄していないものとして取扱います。

以下のケースで考えます。
被相続人:子A
相続人:母のみ(子Aは未婚)
→ 
子Aは
配偶者なし
子なし
父は他界

相続人ではないが
兄弟姉妹は子Aを合わせて4人
つまり4人の兄弟姉妹

本件は・・・
母親のみの単独相続になります。

子Aの相続財産は
財産1億円(生命保険を除く)とします。

よって
相続税総額としては以下となります。

1億円-(3,000万円+600万円×1人)
=6,400万円

6,400万円×30%-700万円=1,220万円

母は父の相続により
それなりの財産があるため
自分ではなく、残りの子3人に
相続させたいと考えています。

そこで、母は税理士に相談し
相続開始後3か月前のタイミングで
家庭裁判所へ相続放棄の申述をしました(民法915)。

民法上、相続放棄すると
初めから相続人でなかったものとみなされるため、
第三順位である子Aの兄弟姉妹3人が
相続人として取り扱われます(民法939)。

そうすると、法定相続人の数は3人となり
相続税の節税にも寄与することになります。

1億円-(3,000万円+600万円×3人)
=5,200万円

5,200万円÷3=1,733万円
1,733万円×15%-50万円≒210万円
210万円×3=610万円

よって
1,220万円-610万円=610万円
これが節税額となります。

しかしながら、これでは相続発生後でも
簡単に節税可能となってしまうため
例外2が存在します。

つまり
例外2:相続放棄した場合
相続放棄があった場合でも、
相続放棄がなかったものとした場合
における相続人の数

相続税法では、相続放棄をしても
相続放棄していないものとして取扱います。

よって
相続放棄をした場合であっても
相続税法上(つまり、相続税の計算上)は
相続放棄をしていないものとして
相続税の計算を行うことになるのです。

このように、相続税法では
相続放棄をすることによる
節税可能な場面につき、様々な場面で
規制をかけています。

これらの規制については、
違うタイミングでご紹介できればと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。