18歳の判定要件
※2023年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「18歳の判定要件」です。
相続時精算課税制度の使い勝手向上を目指すとして
令和5年度税制改正がなされたのは
周知の事実かと思います。
そこで、今回は
相続時精算課税制度を少し振り返りながら
18歳の要件判定を検討します。
平成15年度に相続時精算課税制度が
導入されたのは記憶に新しいところです。
当時の要件は・・・
贈与者:
「贈与をした年の1月1日において」
65歳以上の者
受贈者:
「贈与者の推定相続人である直系卑属で、
贈与を受けた年の1月1日において
20歳以上の者」
でした。
10年の時を経て
平成25年度税制改正より
以下の改正となりました。
贈与者:
贈与をした年の1月1日において
60歳以上の者
受贈者:
贈与者の推定相続人である直系卑属で、
贈与を受けた年の1月1日において
20歳以上の者
贈与者の孫で、
贈与を受けた年の1月1日において
20歳以上の者
当時の改正は
贈与者側の年齢引下げ、
受贈者側として孫にも適用される
というものでした。
ここで、確認したいのは、
贈与者、及び、受贈者とも
判定に際しては、
「贈与(受贈)年の1月1日」を
基準として判定するというものです。
以下、
実務上、失敗しやすい判定として
「受贈者側」にフォーカスして
解説します。
上記、相続時精算課税制度につき
令和4年4月1日に税法以外の法律により
影響を受けることになりました。
平成30年6月に
民法の定める成年年齢を18歳に
引き下げること等を内容とする
「民法の一部を改正する法律」が
成立し、当該法律は
令和4年4月1日に施行すること
になりました。
それを受け、
相続時精算課税制度についても
改正の影響を受けることになります。
具体的には以下のとおりです。
受贈者:
贈与者の推定相続人である直系卑属で、
贈与を受けた年の1月1日において
「18」歳以上の者
贈与者の孫で、
贈与を受けた年の1月1日において
「18」歳以上の者
令和6年1月1日から
相続時精算課税制度の使い勝手が向上される
ため、相続時精算課税制度を選択する
納税者は一気に増加することが
見込まれます。
そこで・・・
実務として注意したいのは
「受贈者年齢に関する判定」です。
例えば、
令和6年3月15日に18歳に
なった孫を想定してください。
祖父が上記の孫に対し
18歳を迎えたことから
令和6年8月20日に
2,500万円の現金贈与を
したとしましょう。
結論としては・・・
受像者要件を満たさないことになります。
つまり・・・
贈与者の孫で、
贈与を受けた年の1月1日において
「18」歳以上の者
を満たすためには
令和7年1月1日以降の贈与で
なければ、受贈者要件を満たさない
ことになります。
このように・・・
令和6年1月1日から相続時精算課税制度を
採用する納税者は一気に増加することが
想定されますので、
「贈与を受けた年の1月1日において」
18歳という判定については
税理士として慎重に判断する必要があります。
また・・・
上記、相続時精算課税制度以外に
「贈与を受けた年の1月1日において」
18歳という判定を行うのは
・暦年課税制度における特例税率
・住宅取得等資金贈与
も同様ですので、受贈者判定については
細心の注意を払う必要があると
ご認識いただければ幸いです。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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