2つの当初申告要件と期限内申告要件との違い
※2018年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回は「当初申告要件」について解説します。
平成23年12月改正により、更正の請求の期間が
5年に延伸され、併せて当初申告要件が大幅に
緩和されたわけですが、これについて
なかなか理解されていないケースが散見されます。
まず、当初申告要件の緩和について、
国税庁のサイトを挙げておきます。
「いわゆる当初申告要件及び適用額の制限の改正について」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/120229/index.htm
この内容をすでに読んだことがある方が
多いと思いますが、当初申告要件については
2種類存在しており、分けて書くと、
〇各個別税法:当初申告要件は(原則)廃止
(適用額の増額等も可能)
〇措置法:当初申告要件あり
(適用額の増額等は一部可能)
となっています。
※これを踏まえたうえで、上記国税庁のサイトを読むと理解しやすいです。
ですから、「当初申告要件」と一言でいっても、
個別税法で規定されているのか、措置法で
規定されているのかによって違いますから、
根拠条文がどっちなのかを特定することが
まず大事になる、ということになります。
所得拡大促進税制など、措置法規定であれば
当初申告要件があることがわかります。
当然ながら、当初申告要件があるものに関しては
後から更正の請求をすることができません。
また、当初申告要件は「期限内申告」でなければ
適用がないと勘違いされていることが
多いのですが、それは間違っています。
期限後申告であっても、当初の申告である
限りは、適用を受けることができます。
個別税法や措置法を読むと、
「確定申告書等」という言葉が出てきますが、
・確定申告書(期限内申告書)
・期限後申告書
・仮決算をした場合の中間申告書
を指しますので、期限後申告であっても
適用を受けることができます。
一方で、法律規定では「修正申告書」や
「更正の請求書」と記載されていますので、
「確定申告書等」には修正申告書や
更正の請求書は含まれません。
つまり、当初申告要件の「当初」とは、
「最初」という意味であって、
「期限内」という意味ではありません。
なお、「期限内申告要件」は
青色申告特別控除65万円のように、
当初申告要件とは別に定められていますので、
この違いには気を付けてください。
次回は、上記を前提として
当初申告要件と更正の請求について
具体例を挙げて解説します。
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