2回目以降を見据えた抗弁書
弊社でもGW前から相談がまた増え、その再対応を考えなければならない事案があります。
何度もこのメルマガで書いていますが、
調査官の否認指摘に対して納得できない場合は、
「書面を作って提出する」ことが効果的です。
書面を提出したことがない税理士にはわかっていただけない
かもしれませんが、書面が効果的な理由は2つあります。
①書面を残す
口頭では適当なことを言っていた調査官も、
書面で抗弁されると、簡単には反論できません。
また口頭とは違い、書面で論点を明確化することで、
論点を絞ってやり取りすることが可能になります。
いわゆる水掛け論を防ぐことにもなるのです。
②書面で回答してもらう
こちらが書面で対応しているのだから
その回答を書面でするように調査官に依頼しても、
実際のところほとんど書面では回答がありません。
しかし、それでも効果はあります。
書面で回答(反論)できない程度の
否認指摘だったということなのです。
なお、税務署に提出する書面を私は抗弁書と呼んでいますが、
抗弁書の出し方については、「VOL.128 抗弁書の出し方」
で5つのポイントを書いていますので、
ぜひ読み返していただきたいと思います。
※過去のメルマガはこちらからご購入いただけます
http://kachiel.jp/tax/pdf002.html
実は私が抗弁書を作らせていただく際に
気を付けていることがあります。
それは「2回目以降を見据えて書く」ということです。
抗弁書に記載する(反論)内容は大きく2つに分けることができます。
(1)法令・通達・事実などから導ける論理(ロジック)
モメている以上、法令・通達・事実などの根拠は同じでも、
その解釈が違うはずです。あとはいかに、
こちらが論理的に説明・抗弁できるかにかかっています。
(2)有利な判決・裁決
似たような事例を探し、その中でも有利な
判決や裁決を提示することは、(1)を後押しする
更なる論拠であって、非常に重要なものです。
さてここで、抗弁書を作成する際には、
私は当初(1)しか盛り込まないようにしています。
当然(2)を調べたうえで(1)を書いているのですが、
それでもあえて(2)を書かないのです。
なぜなら、(1)に反論されたときに、
さらに反論するのを容易にするためです。
すべてを初回の書面で出し、それに対して
完璧に反論されてしまうと負けが濃厚となります。
だからこそあえて、(2)を取っておくのです。
実際のところは、(1)だけの抗弁書で勝てます。
実は今まで(2)まで出した抗弁書はありません。
しかし、(1)だけで反論されてもいいように
あえて隠し玉を持っておくことで、
心理的にも実質的にも優位に立つことができるのです。
書面の提出は2段構えが有効なのです。
※2012年5月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。