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2017.04.04

300億円超の贈与税!否認された事業承継スキーム

※2016年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「300億円超の贈与税!否認された事業承継スキーム」ですが、

朝日新聞DIGITALの記事(平成28年9月17日)から抜粋し、

解説したいと思います。

この報道がされて以降、「具体的にどういうスキームなのか?」ということが

税理士の中で話題になることも少なくありません。

私が担当した事案ではないので、具体的には確定させられませんが、

記事の内容等から推察していきます。

まずは、この記事の一部を抜粋します。

上場会社キーエンスの創業家の事業承継スキームが税務調査で

否認されたことを各紙が報道していますが、これが一番分かりやすいと

思います。

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キーエンス創業者の長男1500億円申告漏れ 株の贈与

センサー機器大手「キーエンス」(大阪市東淀川区)の創業者の滝崎武光

名誉会長(71)の長男が大阪国税局の税務調査を受け、滝崎氏から

贈与された非上場の一族の関連会社の株式について1500億円超の

申告漏れを指摘されたことがわかった。

申告した株式の評価額が著しく低いと判断された模様で、国税局は

過少申告加算税を含め300億円超を追徴課税する更正処分を通知。

長男は全額納付したとみられる。

関係者によると、滝崎家は関連会社とは別に、キーエンスの筆頭株主で

同社株17%超を保有する非上場の資産管理会社「ティ・ティ」(大阪府

豊中市)を経営。

滝崎氏はティ社の転換社債などを利用した出資で新たに関連会社を設立し、

同社株を長男に贈与したとされる。

財産評価に関する国税庁の通達では、取引相場のない非上場会社の株式の

評価額は、業種や事業内容が類似する企業の株価などを基に算定する。

長男は通達に沿って関連会社株を評価したとされるが、国税局は、

関連会社が転換社債によって事実上支配するティ社を通じ、大量の

キーエンス株を間接保有しているとみなし、評価額が過小だと判断した模様だ。

通達では、国税局が通達に沿った評価額について、実態とかけ離れているなど

「著しく不適当」と判断した場合に「国税庁長官の指示を受けて再評価できる」

とする特例的な措置も認められている。(以下、略))
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平成28年9月17日の日本経済新聞では「滝崎氏らはティ社株を

現物出資して新たに非上場の資産管理会社を設立し」とも記載されているので、

ティ社の株式及び転換社債を現物出資したスキームと推察されます。

確定的なことは言えませんが、上記の朝日DIGITALでは「通達では、

国税局が通達に沿った評価額について、実態とかけ離れているなど

「著しく不適当」と判断した場合に「国税庁長官の指示を受けて再評価できる」

とする特例的な措置も認められている。」とあることから、総則6項によって

否認されたものとも推察されます。

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財産評価基本通達 第1章 総則

(この通達の定めにより難い場合の評価)

6 この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の

価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。
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いずれにせよ、財産評価基本通達の穴を突いたスキームでは総則6項が

適用されますし、下記の通達もあります。

(特定の評価会社の株式)

189 178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫の「特定の評価会社の

株式」とは、評価会社の資産の保有状況、営業の状態等に応じて定めた

次に掲げる評価会社の株式をいい、その株式の価額は、次に掲げる区分に従い、

それぞれ次に掲げるところによる。

なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを

判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の

資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する

評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、

その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。

(2)株式保有特定会社の株式

(3)土地保有特定会社の株式

ここでも「課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に

変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と

判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動は

なかったものとして当該判定を行うものとする。」とする部分を見るべきです。

数字の遊びとまでは言いませんが、何らかのスキームにより、

合理的理由もなく、株式保有特定会社、土地保有特定会社の評価を外すことは

非常に危険なことです。

「計算上はそうなる」ということだけでは、税務調査で否認されるリスクが

あるのです。

特に、事業承継においては、金額も大きくなることが多い訳です。

キーエンスのスキームは明らかにやりすぎと考えますが、

上記の点には十分に注意すべきなのです。

 

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