関与変更により青色申告かどうか不明のケース
※2021年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回は税務調査に関することではありませんが、
関与が変わった初回の申告では税理士事務所あるある
ですから、ぜひ知っておいてください。
つい先日、同じような質問が複数回ありました。
概要は下記になります。
・個人(所得税)の申告
・前税理士から関与が変わって初めての申告
・過去提出分は青色申告となっている
・電子申告のメッセージボックスにある「確定申告のお知らせ」
を確認すると「白色申告」となっている
・納税者に確認する限り、青色申告の「取りやめ」提出や、
税務署からの「取消し」通知はない
このようなケースでは、結論は青色か白色かを
「税務署に確認してください」にしかなりません。
納税者(関与先)が認識していないだけで、青色申告では
なくなっているのかもしれませんし、電子申告(KSK)の
システムエラーである可能性もあります。
また、直近で異動届を提出している場合、異動手続きが
正確になされず、納税者の情報が引き継がれていない
などの可能性もあり得ます。
どの可能性にしても、税務署にしかわからない事由ですから、
税務署に聞くしかない、という話です。
ここで気になるのは、もし正しくは過去も白色であった場合、
過年度に提出した青色申告は税務署内でエラーになって、
以前関与した税理士事務所などに連絡があるだろうから、
過去申告の青・白区分が間違っているとは
考えにくい、ということではないでしょうか。
青・白の区分が間違っているという連絡を受けたのであれば
税理士事務所は修正申告などの是正を行っているはず、
という考え方です。
法人税の申告においては、青色と白色が間違っていた場合、
(ほぼ間違いなく)誤りの是正連絡があります。
一方で、所得税の場合、KSKで申告内容にエラーが
出ていたり、申告内容を確認する税務署職員が誤りに気付いた
としても、その是正連絡・処理をするとは限りません。
所得税の場合、青・白の区分以外も含め、申告内容に
明らかな誤りがあったとしても、税額の異動が少額
(3万円もしくは5万円未満)である場合、
実務上是正の連絡をしないという運用がなされています。
青・白の区分が間違っている場合、青色の特別控除額を
差し引いても税額が変わらない(赤字など)
ようなケースがこれに該当します。
これを税務署内では「少額免除」と呼んでおり、
いったんは是正をせず、是正をするなら
まとめて複数年するという運用をしています
(もちろん、そのまま是正がなされないまま
状況が延々と続くこともあります)。
これは、所得税の場合は申告数が多く、かつ
税理士関与率が低いため誤りが多いことから、
税額の異動が少額で影響が低い申告をあえて
是正連絡しない、ということが行われているわけです。
ですから、所得税申告の場合、税務署から
「連絡がないから正しいはず」という論理は
成り立たないことがわかります。
法人の関与に慣れていると、個人課税課からの
連絡内容に驚く(過去是正が複数年など)ことも
ありますが、事務運営には違いがありますので、
ぜひ注意していただければと思います。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。