税務調査への影響は?銀行への預貯金の照会がオンライン化
※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今年10月から、国税が銀行に対して預貯金等の
照会をかけるのがオンライン化されたことは
あまり知られていないようです。
これは、国税のDX化の一環として、
今年6月に大々的に公表されています。
「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション
- 税務行政の将来像2.0 -」
このオンライン化は、すでに昨年秋に
テスト運用されており、国税が各金融機関に
直接的に照会をかけているわけではなく、
NTTデータのピピットリンクを利用しています。
国税が金融機関の情報をほぼ見れるようになったのかと
思ってましたが、導入さえすればどの官公庁も
閲覧できる程度の情報しか開示されないようです。
さて、国税が銀行への預貯金の照会をオンライン化
できるようになったことに関して、私なりに
情報をリサーチしてみましたので、
今回のメルマガでそれらを公開しましょう。
まず、銀行に対して預貯金の照会をかけるのは
現時点ではあくまでも一部の情報に限られるようです。
・銀行によっては10年分のデータが得られる
・多くの銀行では直近3ヵ月分のデータしか取れない
実態としては、ネットバンキングのAPI連携が
主のようで、国税もこれなら反面調査が楽になる
という感覚はもっていないようですね。
オンライン照会する場合の国税内の事情ですが、
さすがにどの調査官も自由にできるという訳もなく、
統括官など一部の責任者に限定されているようです。
私の感覚では、税務署内で預貯金の照会状を
決裁~捺印~郵送するよりは、オンライン化で
事務対応はだいぶ減るのかと思っていましたが、
オンライン照会であっても実は国税内の手続きが
煩雑であることは変わらないようで、
そうなのであれば書面での照会を続けた方がいい
と考えている調査官がほとんどかもしれません。
以上を踏まえて、国税が銀行への預貯金の照会を
オンライン化できるようになったことに関する
税務調査の影響をまとめてみます
(あくまでも当面だけの見通しです)。
●銀行(反面)調査が急激に増えるということはない
●法人調査で代表者などの預金を事前に・勝手に
調べるということはない
●国税が保有する情報と金融機関の情報が
紐づけされるという施策ではない
●税務署レベルではまだまだ浸透しないが、
国税局などの大規模な調査になると、預金の動きが
紙ではなくデータで取得できることから、
突合などは簡単に行えるようになるはず
私は個人的に、国税がオンライン照会を
開始すれば調査にかかる情報を取り放題か、
くらいに思っていましたが、いろんな情報収集を
してみると、意外に普通な感じではありました。
ただ、今後はさらに国税もDX化していきますし、
それによって調査の深度・幅も広がることは
間違いのない見通しと言えるでしょう。
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