税務署の審理・事前照会制度
今回は「税務署の審理・事前照会制度」です。
「この取引ってどう税務判断すればいいの?」
書籍等を調べてもわからない場合、税務署の
審理に質問に行くこともあるかと思います。
しかし・・・です。
・審理からの回答にどうしても納得できない
・審理からの回答通りに税務処理したが
税務調査では逆のことを言われて否認された
このような事案があることもまた事実です。
ヒドいケースになると、「事前に税務署の審理に確認した」
と調査官に主張し、確認してもらったところ、
「相談に来た事績は残っているが回答事績が残っていないため、
その処理は認められません」と否認された事案を知っています。
このようなことを起こさないため、「事前照会制度」が
あるのかと考え、私が運営するメーリングリスト(習得会)で、
事前照会制度を利用状況に関して、参加する税理士450名に
質問してみました。
回答が2名からありましたが、ある事情により
最終的に事前照会制度を利用しなかった、とのこと。
つまり、450名の税理士が誰も
事前照会制度を利用したことがない、ということになります。
まず、事前照会制度とは、国税庁のサイトに概要が載っています。
「税務上の取扱いに関する事前照会に対する文書回答について」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/sodan/jizenshokai/bunsho/gaiyo01/01.htm
言葉として似ているものに、移転価格における
「事前確認」がありますが、これとは違いますのでご注意を。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/010601/05.htm
さて、事前照会制度を利用するうえで、いくつかの
ポイントがありますので、列挙しておきましょう。
・申告期限前の照会であること
→ 過去分は照会対象となりません
・仮定(○○したなら)は照会対象になりません
・金額の妥当性や評価については照会対象になりません
・照会内容・回答内容が公表されます
→ 私も勘違いしていましたが、事前照会者名は公表されません。
あくまでも照会内容と回答が公表されるだけです。
・3ヶ月以内で処理されるのが原則
→ 申告期限前に照会したが、申告期限までに
回答がなかった場合は、当初申告をいったん提出し、
その後回答によって、修正申告もしくは更正の請求を
する必要が生じることもあり得ます
事前照会制度を利用する価値があるところは、
文書による回答があることです。
税務署の審理では、文書による回答もありませんし、
最終的には「個別性を検討しないとわからない」
(一般論での回答)と言われることもあります。
事前照会の回答を文書で持っていて、それが税務調査で
否認されるということはないはずです。
事前照会の回答自体が公表されている以上、
それは公式な見解であることは間違いありませんので。
なお、事前照会については、事務運営指針が公表されています。
「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について (事務運営指針)」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/020628/01.htm
現在運用されている事前照会制度は平成23年4月から
若干の変更がありましたので、過去の制度しか知らない方は、
勘違いしている点があるかもしれません。
これを機に、制度の詳細まで把握しておいてください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
※2014年5月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。