2014.09.16

調査官の情報収集活動-その3-

≪調査官の情報収集活動-その3-≫
副業に関する調査活動です。

最近、会社員や主婦層に副業として人気のあるFX取引(外国為替証拠金取引)。
24時間、時間を選ばずに取引できることや少ない資金から始められるという
手軽さがウケて、人気が急上昇しています。

家にいながらわずかな時間で口座開設から実際の取引までができ、
初心者に向けた情報などもネットで簡単に調べることができます。

「FXで4億稼いだ主婦」とメディアでも話題になりました。
これだけ簡単に利益が出ると聞けば、関心が高いことも頷けます。

しかし、この「ちょっとしたお小遣い稼ぎ」の感覚が
のちに大きな代償として返ってくることもあるのです。

2006年度の1年間に個人に対して行われた税務調査のうち
FXでの所得申告漏れは、総額224億円にも上りました。

この時の調査対象は、約1,000人。
単純に計算しても1人当たり平均2,000万円以上の利益となります。

悪質な脱税には、逮捕や起訴にまで発展しています。
先の「FXで4億稼いだ主婦」は、実際に起訴されています。

元小学校校長のケースでは、
「店頭でのFXによる利益は国税局に把握されにくい」という盲点をつき、
3億円もの利益を申告しなかった悪質な行為とし、和歌山地裁より起訴。
懲役1年6ヵ月、執行猶予4年、罰金3,000万円の判決が言い渡されました。

では、なぜこれらの行為が発覚してしまったのでしょうか?

ある会社の調査のために銀行調査に入ります。
もちろんこの会社も対象ではありますが、他にも調査官は調べています。

これを「横目調査」と呼んでいます。

銀行調査では、口座番号順にこの銀行の1ヵ月の全取引が提示されます。
この時、取引金額が異常に多い口座は新たな調査対象となります。

もちろんそれが個人の口座である場合は、なぜ、取引金額が多いのか?
これほど回数が多いのか?その理由を調べていきます。

その際、この人物がきちんと確定申告をしているかなど
実に細かく調査が行われます。

ここでどうやらFX取引によって利益を得ていることが発覚するのです。

もちろんFX会社も直接調査する場合もありますが、
こういった個人トレーダーは、調査官の目を誤魔化すために
予め複数社を利用したり、銀行口座を分けていることも少なくありません。

A社ではマイナス取引でも、B社で大きな利益を得ている可能性もあります。
そう言った場合に、この「横目調査」が効果を発揮するのです。

「さすがに個人の銀行口座まで目は届かないであろう」
などと誰もが甘い判断をした結果、先に述べた総額224億円の申告漏れにも
つながったわけですが、けっして隠しきれるものではありません。

特に副業に関しては、これから一層調査が厳しくなります。

FXは、誰でも手軽に始めることができますが、
併せて申告の知識も深める必要性もあると思われます。

 

※2009年9月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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