2026.07.07

無申告者の期限後申告は推計で計算していいのか?

※2025年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回の本ブログでは「推計課税の法的要件」
について解説しましたが、今回は「推計によって
確定申告をすることが許されるのか」です。

税理士・会計事務所として頭の痛い問題として、

・個人事業主で無申告
・数年分まとめて申告の依頼を受けた
・ただし、原資資料の保存がなされていない

という場合の対応があります。資料から
実額計算ができないケースです。

無申告者の期限後申告を受託した場合、
業種による所得率等を参考にできるわけでもなく、
実額であろう(に近い)金額の算定が必要になる
わけです。でなければ、所得・税額が不当に
高くなるだけです(納税者不利で、多くの場合
納付ができない状況になる)。

まず、税務署(税務調査が入った)目線ですが、
事業をやっている以上かかっているであろう
支出については、原資資料がなくとも
必要経費として認めることになります
(さすがに消費税の仕入税額控除は認めませんが)。

これは前回解説したとおり、原資資料がない
税務調査であっても、原資資料がないという理由
だけで全ての必要経費を否認しないからです。

ですから、資料がない場合であっても
仕入・家賃などの固定費・交通費・車両関連費用
などの必要経費は算入して申告することで
大きく問題になることはありません。

現実的な申告書作成は下記のようになります。

資料等がある直近の数字を固める
(過年分の資料が全くない場合は
進行年分の月次ベースで対応)
⇒
取引先に照会をかけるなど支払額が把握できる
支出に関しては確認して実額を計上する
(可能であれば請求書・領収書の発行依頼)
⇒
必要経費が毎月大きくブレない限り、
毎月の経費を定額であっても計上する
⇒
仕入の額がわからない場合は、直近の
粗利率から逆算して計上する

これは、当初申告済みで修正申告したい
(税務調査の事前通知後、もしくは
所得ゼロの申告で銀行借入ができない等)場合
も同じ対応になり、推計によって
自主修正申告書を作成することになります。

さて、このような自主的な推計計算による
申告内容(所得・税額計算)が、税務署に
絶対的に認められるかといえば、
その保障はありません。なぜなら、上記は
あくまでも現実的な対応として許容されるものの、
税務署が行う推計課税の計算方法と相違する場合、
税務調査によって否認されるリスクはあります
(この場合、実額を把握できない納税者に
問題がある、としか言えないわけですが)。

例えば、納税側が把握する方法すらありませんが、
税務署が推計課税する一般的な方法として
【同業種による所得率】の適用があります。

これを適用されると、納税者側としては
反論の余地が少ない(反論できるとすると
同業者の抽出条件くらい)のが現実です。

次回の本ブログでは、税務調査における
推計課税の具体的な方法と、それに反論する
根拠について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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