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2020.10.02

従業員不正が自己の利得のみを目的として行った場合の重加算税

※2019年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

前々回から従業員不正に関して
法人に重加算税が課されるのかについて
解説をしてきましたが、今回はその最終回です。

さて、「実質的に経営に参画する者」が行った
不正に関しては、法人が行ったことと同一視できる
ことから、法人に重加算税が課されることは
すでに解説してきました。

一方で、(経営に参画しない)従業員が行った
不正行為については、その従業員のみの
自己の利得を目的としている場合には、
重加算税対象とならないと判断される場合もあります。

例えば、下記の裁決事例ではこう判断されています。
(本裁決は公開裁決事例ではありませんが、
不服審判所の検索システムで見ることは可能です)

平成14年5月27日裁決(東京)
「その従業員が、家族使用人等として経営に参画し、
あるいは、記帳する業務に従事するなど相当な権限を
有する地位に就いていたとは認められず、さらに、
従業員が自己の利得(横領)のために請求人に
秘匿のうえ売上除外による隠ぺい行為を
行っていたこと及びその目的も請求人の簿外財産等を
蓄積するためではないことは、詫び状・
金銭貸借契約書から明らかであるから、
従業員の不正行為を、請求人の行為と同視することは
できず、原処分庁の主張を採用することはできない。」

として、重加算税を取り消しています。

ここでも重要な論点は、経営者が従業員不正を
(注意を払うなどすれば)十分認識できた場合は、
法人に重加算税が課されることは前々回で
解説しましたが、上記裁決事例ではそうではなく、
従業員個人の利得目的であったと認定され、
重加算税ではないと判断されたわけです。

また、下記公開裁決事例も同じように
判断されていることから非常に参考になります。

「使用人の詐取行為における隠ぺい、
仮装行為について、請求人自身の行為と
同視することはできないとした事例」
(平成23年7月6日裁決)
http://www.kfs.go.jp/service/JP/84/03/index.html

裁決事例の内容としては、ケーキを製造する会社の
従業員が、ケーキに乗せるイチゴを高めに発注し
不正していたもので、重加算税は取消されました。

(1)不正した従業員は工場の所属課に配属されて以後、
退社するまで職制上の重要な地位に従事したことがなかった

(2)法人の経理帳簿の作成等に携わる職務に従事したこともなかった

(3)単に資材の調達業務を分担する一従業員であった

(4)この不正行為は、この従業員の私的費用を法人から
詐取するために同人が独断で取引先に依頼して行ったもの

以上から、

○法人が取引内容の管理を怠ったわけではない

○法人がこの仮装行為を発見することができなかった
(のは仕方ない)

として、重加算税の取消しになったのです。

税務調査では、従業員不正であっても
重加算税であると押し通してくる調査官が
ほとんどであるわけですが、この指摘に対しては
過去の裁決・判決などから論点を明確にし、
適正に反論することが大事になります。

なぜなら、法律(国税通則法第68条)や
通達には、どこまでの範囲の不正が重加算税に
なるかは明記されていないからです。

多くの裁決・判決を知った方が有利になる
論点ですから、ぜひ参考にしてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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