「税務調査で7年遡及になる要件は?」
※2018年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
調査年分は事前通知において3年分が
一般的ですが、売上の計上漏れなどがあった場合
5年遡ることも珍しくはありません。
一方で、7年分遡ると調査官に言われた場合、
どのように考えるべきなのでしょうか。
先日実際にあった相談事案を紹介します。
〇法人の店舗横に設置している自販機の雑収入漏れ
〇契約は法人
〇入金は社長の個人口座
〇金額は年間に数千円~1万円ちょっと
〇調査官は7年遡ると指摘
〇7年遡及は妥当なのか?
まず、7年分遡る根拠となるのは、
下記の法律規定になります。
国税通則法第70条第4項
次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は
前項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる
更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限
又は日から七年を経過する日まですることができる。
一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは
一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の
税額の還付を受けた国税についての更正決定等
この「偽りその他不正の行為」を単純に
言い換えると「脱税」になります。
上記の実例においては、金額の多寡はともかく
自販機設置の収入を社長の個人口座に
していたために、法人に計上すべき雑収入が
計上漏れになった、ということですから、
これを脱税と指摘するのはムリがあります。
「偽りその他不正の行為」とは具体的に
どのような行為を指すのかは、裁決・判決を
見た方が早いのですが、「偽りその他不正の行為」
を争った裁決事例の一覧が下記です。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0701010000.html
この一番下(直近)の裁決事例には、
下記が判断基準となっています。
「売上金額の残部が申告漏れとなったことについて、
請求人が自らに帰属しないような外形を作出したとか、
本件調査において、請求人が真実の所得を秘匿するため、
虚偽の資料を作成し又は領収証の控えつづりを
秘匿するなどして、これらの申告漏れが発覚し難い状況を
作出したとかの事実を認めることはできず、
請求人が平成17年分の所得税の賦課徴収を不能又は
困難にするような何らかの偽計その他の工作を伴う
不正な行為を行ったとはいえない」
このような具体的な脱税行為がない限りは
7年遡及になることは無い、というわけです。
計上漏れが連年にわたる場合、
調査官が7年遡及と言い出すケースがありますが、
具体的な脱税行為がない限り、7年遡及はできない
(最大でも5年遡及)となりますので、
きちんと反論してください。
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