【訂正】家賃設定における「固定資産税の課税標準額」
※2019年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
以前、配信しました「社宅家賃の設定について」
において、内容に誤りがありましたのでその訂正と、
その根拠等について配信させていただきます。
前回は、社宅家賃を設定するうえで
経済的利益が生じない「賃貸料相当額」を算出するには
「固定資産税の課税標準額」を使って計算した方が
有利としながら、下記の解説をしました。
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なお、ここにいう「固定資産税の課税標準額」は、
「固定資産税評価額」や「課税台帳に登録された価格」
ではありませんから、住宅用地等に対する課税標準の
【特例などを適用した後の額】(実際に賦課される
固定資産税額に係る固定資産税課税標準額)
になりますので、注意してください。
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この点が誤りで、正しくはここにいう
「固定資産税の課税標準額」は「固定資産税評価額」
(固定資産課税台帳に登録された価格)です。
誤った情報を提供し、申し訳ありませんでした。
私は下記の書籍を参考にしておりましたが、
書籍の内容も間違っていたということです。
http://kachiel.jp/sharefile/inspire/190829syuutokukai172235.pdf
訂正した正しい情報の根拠は、まず下記の
国税庁ホームページが挙げられます。
「社宅に係る通常の賃貸料の額を計算する場合の
固定資産税の課税標準額」
http://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/04.htm
ここには、「役員又は使用人に社宅を貸与した
場合には、家屋又は敷地の固定資産税の課税標準額を
基礎として、通常の賃貸料の額を計算することと
されていますが、この固定資産税の課税標準額は、
地方税法の規定により、原則として固定資産課税台帳
に登録された価格によるものとされています。」
と明記されています。
話がややこしいのですが、この
「固定資産課税台帳に登録されている金額」
というのは、その土地・建物の評価額であって、
実際の固定資産税を算出するときに用いる
課税標準額ではない、ということです。
また、上記国税庁サイトを解説している
TKCライブラリーがありましたので、
最後になりますが一部転載しておきます。
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【件名】
社宅に係る「通常の賃貸料」の額を計算する
場合の固定資産税の課税標準額
【質問】
固定資産評価証明書には、
「平成X年度価格12,000,000(円)」
のほか、摘要欄に
「固定資産税の課税標準額1,560,000(円)」、
「都市計画税課税標準額3,900,000(円)」、
「課税標準の特例額2,000,000(円)」、
「比準課税標準額1,470,000(円)」
といったものも表示されていますが、社宅を
貸与した場合における「通常の賃貸料」の額の
計算の基礎とされる固定資産税の課税標準額とは、
上記評価証明書に記載されている
「固定資産税の課税標準額1,560,000(円)」
を適用すればよいのでしょうか。
【回答】
固定資産税の課税標準額は、賦課期日(1月1日)における
固定資産の価格として固定資産課税台帳に登録されている
ものをいいますが、固定資産評価証明書に記載されている
「平成X年度価格12,000,000(円)」
がこれに該当します。
【解説】
法人又は個人の事業の用に供する資産を専属的に
利用することにより役員又は使用人が受ける
経済的利益の額は、その資産の利用につき通常
支払うべき使用料その他その利用の対価に相当する額
(その利用者がその利用の対価として支出する金額が
あるときは、これを控除した額)とされていますので
(所令84条の2)、社宅の貸与による経済的利益
についてもその社宅の「通常の賃貸料の額」を基として
計算することになりますが、この「通常の賃貸料の額」
の算定方法が所得税基本通達36-40及び
36-41に規定されています。そして、この計算の
基礎に用いられる「固定資産税の課税標準額」とは、
賦課期日(1月1日)における「固定資産の価格」
として固定資産課税台帳に登録されているものを
いう旨説明されていますが(所基通36-40逐条解説、
国税庁HP源泉所得税質疑応答事例「社宅に係る通常の
賃貸料の額を計算する場合の固定資産税の課税標準」
参照)、地方税法上の固定資産税の課税標準とは、
「固定資産の価格」とされており、それは、
固定資産評価基準に基づいて適正に評価された価格で
固定資産課税台帳に登録されたものであって
(地方税法349条、349条の2)、かつ、
「適正な時価」ともされていますので
(地方税法341条5号)、上記逐条解説等は、
このことを根拠として説明されているものと考えます。
したがって、所得税基本通達36-40及び
36-41で示されている計算式に用いられる
「固定資産税の課税標準額」とは、固定資産評価証明書
(注1)に同通達と同一名称で記載されている
「固定資産税の課税標準額」(1,560,000円)ではなく
(注2)、「平成X年度価格12,000,000(円)」
ということになります。
(注1)固定資産評価証明書とは、固定資産課税台帳に
登録された事項のうち、当該年度の賦課期日現在の
固定資産の評価額、課税標準額、所有者、所在等を
証明したものをいいます。なお、固定資産税評価額は、
固定資産税の納税通知書に同封された
「課税明細書」の土地・家屋の「価格(又は評価額)」
からも知ることができます。
(注2)固定資産評価証明書に記載されている
「固定資産税の課税標準額」(1,560,000円)は、
固定資産税を賦課するための特例措置や負担調整措置を
加味した後の価額とされますので、「適正な時価」を
示したものではありません。
【収録日】
平成24年 5月23日
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