とりあえず期限内申告する際の注意点
※2018年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
顧問先が資料を提出してこない、などで
実務上は申告期限が守れないケースがあります。
また、関与がない法人から突然の依頼があり、
資料も多く正確な決算を組んでいると
申告期限に間に合わないケースもあるでしょう。
このようなケースでは「とりあえず」
期限内申告をしておくべきです。
特に法人の場合、2期連続の期限後申告で
青色申告の取消しになってしまいますから、
期限後申告は避けるべきで、何が何でも
期限内申告をしておいてから、その後に
修正申告か更正の請求をすべきです。
なお、法人税法上の「申告書」とは、
法定様式に法人税法第74条の内容が
記載されたものを指しますので、別表一さえ
提出すれば「一応は」申告書の提出となります。
さて、ここで1つ注意点なのですが、
法人の申告は下記のように定められています。
法人税法第74条(確定申告)
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、
税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる
事項を記載した申告書を提出しなければならない。
ここから、「確定した決算に基づき」別表一を
提出することで確定申告になるわけですから、
別表一とともに決算書の提出は必要になります。
今回のケースで言うと、「とりあえず」
期限内申告をするわけですから、概算であっても
決算書を添付することになります。
東京局法人課税課が国税職員に出している
「法人課税内部事務質疑応答集」
(この内部規定を検索等で見ることはできません)
には、「申告書別表一だけが提出された場合の取り扱い」
という項目があり、稼働中法人から別表一だけの申告が
あった場合、その理由の説明を求め、
それらを判定した結果、その別表一が
確定した決算に基づくと認められた場合は、
正規の申告書として取り扱う、とあります。
同時に、休業の場合は、確定した決算に基づく申告を
要求する実効性に乏しいから別表一だけでよい、
ともされています。
このように、「確定した決算に基づき」
申告していることが要件になっていることから
概算であっても決算書は添付しましょう。
なお、「とりあえず期限内申告する」場合、
正確な所得・税額を計算した後で
修正申告または更正の請求をするわけですが、
できる限り修正申告になるようにすべきです。
これは、更正の請求をすると、税務署から
その説明資料等を求められ、面倒になる
ケースが多いからです。また、その説明が
曖昧であった場合、税務調査に振り替えられる
リスクも高くなります。
一方で、修正申告であれば説明資料を
求められることはなく、面倒になる
ケースはないものと思います。
真面目な税理士・会計事務所ほど
頑張ったけど期日に間に合わないから
期限後申告になってしまう、という
対応をしがちですが、とりあえず
期限内申告することは大事です。
青色取消しになるリスクもそうですが、
当初申告が期限後申告ということは、
その後税務調査に入って修正申告となれば、
加算税が過少申告加算税(10%)ではなく、
無申告加算税(15%)になるということです。
とりあえずでも期限内申告をしてください。
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