交際費課税:接待後のタクシー代は交際費か?(前編)
※2020年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
金曜の本メルマガでは「交際費課税」について連載で
取り上げていますが、今回は「接待後のタクシー代は
交際費になるのか?」について解説します。
なお、本論点の解説は長くなるので、
今週と来週の2回に分けて配信します。
ネットで検索してみると、あたかも
接待後のタクシー代は当然に交際費で処理する
ように書かれているものがほとんどですし、
税理士・会計事務所の中には、接待後の
タクシー代を抜き出して交際費として
処理しているところもあるようです。
また、過去に相談・質問を受けた調査事案でも、
「接待後のタクシー代が交際費になるというのは
国税の統一見解」とまで言われたものもあります。
しかし不思議なことに、接待後に電車で帰宅した
際の「電車代」を交際費にしているケースを
見たこともなければ、税務調査で指摘された
経験もないわけです。
まず、接待後のタクシー代が交際費に
「ならない」ことが確定しているケースは、
【他社が開催する接待】の場合です。
上記国税庁のサイトでも明らかなとおり、
接待を受ける側が利用するタクシー代負担は
交際費にならないわけです。
さて次に、自社が開催・負担する接待後に
利用したタクシー代はどうなるのでしょうか?
第一法規のデータベース「会社税務事例」には、
下記が載っています。
ここでは、自社開催の接待であっても、
タクシー代は交際費にならないとされています。
これとほぼ同内容の見解が「即答 交際費課税」
(武田昌輔 財経詳報社)にもあります。
ザックリ論点を解釈して書き出せば、
「残業後に電車がなくなってタクシーで帰宅した
のと何ら変わらない」ということでしょう。
接待自体は仕事であり、そもそも接待行為に
事業関連性がないのであれば、交際費にすら
ならずに、給与課税されるべきものです。
このように接待終了までが仕事だと考えれば、
その後に電車で帰宅しようがタクシーを利用
しようが、それは交通費にすぎません。
上記の論理で考えれば、接待後のタクシー代が
交際費の付随費用と考えるのに
かなりムリがある(交通費と考えるべき)
ことが理解できるかと思います。
おそらくですが、接待後のタクシー代が
交際費と認識されるきっかけとなったであろう
判決があるのですが、それについては
来週のメルマガで取り上げることにします。
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