交際費課税:総論(前編)
※2020年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
本メルマガ金曜では、前回まで約4ヶ月間にわたり
「貸倒損失」について解説してきましたが、
今回からは「交際費課税」について連載します。
なお、税務上特有の考え方である交際費課税
について、学術的な解説ではなく実務的な、
特に税務調査では指摘されやすい論点、
もしくは実務上判断に迷うポイントについて
重点的に解説していくつもりです。
まずは交際費課税について初めの解説として、
来週と2回に分けて総論を取り上げます。
交際費課税について措置法第61条の4に
規定されているわけですが、その要件・範囲は
下記の4つとされています。
(1)交際費・接待費・機密費などの費用
(2)事業関係者に対する支出であること
(3)接待・供応・慰安・贈答その他これらに
類する行為のために支出するもの
(4)専ら従業員の慰安のために行われる
支出は除かれている
まず、全体理解として解説しますが、
一般的にいう「交際費」であったとしても、
「接待・供応・慰安・贈答」に該当しなければ
交際費課税の対象外になります
(だからこそ税務特有の概念です)。
例えば、ある団体からの嫌がらせ行為を
止めるために金銭を供与した場合、
接待・供応・慰安・贈答には該当しないと
判断するのであれば、ある種の交際費
(または機密費)であっても、税務上の
交際費には該当しないという考え方です。
この辺りは判断が微妙で、建築会社が支払う
「近隣対策費」が交際費とされており、
また(表現が古いですが)総会屋対策費も
交際費と考えられることなどから、
この論点は別途、個別的に取り上げます。
また、上記(2)における「事業関係者」
ですが、支出時点で事業には直接関係のない
者ではあっても、将来的に事業に関係を
持つであろうことが見込まれる者も
含まれるとするのは当然の解釈でしょう。
一般的には交際費で最も多い行為が
「接待」になるわけですが、接待なる
行為が「(今は顧客・取引先ではなくても)
以後新たな取引をお願いしますよ」
も含まれると考えれば、ここにいう
「事業関係者」は広く捉えることができます。
実際に通達でも下記と規定されています。
措置法通達61の4(1)-22
(交際費等の支出の相手方の範囲)
措置法第61条の4第4項に規定する「得意先、
仕入先その他事業に関係のある者等」には、
直接当該法人の営む事業に取引関係のある者
だけでなく間接に当該法人の利害に
関係ある者及び当該法人の役員、従業員、
株主等も含むことに留意する。
来週金曜の本メルマガでは、
交際費課税の本丸である
「接待・供応・慰安・贈答」の
意味合い・範囲について解説します。
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