令和5年度税制改正大綱(マンションの相続税評価について)
※2023年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「令和5年度税制改正大綱
(マンションの相続税評価について)」です。
今回取り上げるのは、
令和4年4月19日最高裁判決を受け
税制改正大綱の基本的考え方でも取り上げられた
「マンションの相続税評価について」です。
令和5年度税制改正大綱P21
第一 令和5年度税制改正の基本的考え方等
5.円滑・適正な納税のための環境整備
における記載を抜粋します。
—
(5)マンションの相続税評価について
マンションについては、市場での
売買価格と通達に基づく相続税
評価額とが大きく乖離している
ケースが見られる。現状を放置
すれば、マンションの相続税評価額
が個別に判断されることもあり、
納税者の予見可能性を確保する
必要もある。このため、相続税
におけるマンションの評価方法
については、相続税法の時価主義
の下、市場価格との乖離の実態を
踏まえ、適正化を検討する。
—
この記載は、時価と相続税評価の乖離を
用いた節税スキームに歯止めをかける
動きに入ることを意味しています。
令和4年4月19日の最高裁判決における
事案では、マンション2棟を3年以内に
購入し、うち1棟を相続税申告期限内に
売却しており、相続税の当初申告では
貸家(評基通93)及び貸家建付地(評基通26)
で評価しております。
もちろん
家屋は固定資産税評価額(評基通89)
土地は路線価方式(評基通13)
がベースとなります。
しかしながら、上記事案では、
総則6項(評基通6)が発動され
最終的には最高裁が判断するところまで
争うことになりました。
令和5年度税制改正大綱を受け
令和5年中には、財産評価基本通達が
改正される動きになることが予想されています。
この動きを受け、令和5年1月31日に
国税庁より報道発表資料として、
ある資料が開示されました。
マンションに係る財産評価基本通達
に関する有識者会議について
当該資料では、以下が開示されています。
1.相続税法22条と財産評価基本通達
との関係
2.現行のマンションの相続税評価の方法
3.市場価格と相続税評価の乖離の事例
4.最高裁判決における財産評価基本通達
6項の適用事例
5.近年の評価通達6項の適用件数一覧
6.議論の射程・基本的考え方と
今後の検討事項について
など
市場への影響にも配慮すべきという意見や
資材高騰するコロナ前の時期における実態把握
が必要ではないか、などの意見が
出ているようです。
様々な議論が生じる論点ではありますが、
個人的な疑問点を列挙したいと思います。
■疑問点1(物件種別の特定)
マンションだけではなく、商業ビルなども
適用対象となるのか?
■疑問点2(評価額の決め方)
どのような基準が採用されるのか?
・3年内取得の個人版復活?
・取引事例に係数を乗じる?
・固定資産税評価額のダブルスタンダード?
■疑問点3(通達発遣日前取得の扱い)
通達発遣日以降取得の該当不動産が規制対象?
その場合、駆け込み需要の可能性あり。
今後、有識者会議の動向を注視し
財産評価基本通達がどう改正されるか
モニタリングする必要があります。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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