令和5年度税制改正大綱(生前贈与加算期間の延長)
※2023年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「令和5年度税制改正大綱
(生前贈与加算期間の延長)」です。
前2回は相続時精算課税制度の検証を行いましたが
今回は、相続開始3年内贈与の加算期間
の延長(暦年贈与)を検証します。
令和5年度税制改正大綱(P42)
該当箇所を抜粋します。
—
(1)相続又は遺贈により財産を取得した者が、当該相続の開始前7年以内
(現行:3年以内)に当該相続に係る被相続人から贈与により
財産を取得したことがある場合には、当該贈与により取得した財産の価額
(当該財産のうち当該相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の
財産については、当該財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)
を相続税の課税価格に加算することとする。
(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産
に係る相続税について適用する。
—
■改正内容1
相続開始前の加算期間につき、
3年以内 が 7年以内 へ変更
こちらは課税実務上、
妥当な加算年数と考えます。
これにより、相続税申告実務における
預金調査についても、検証年数が延びた
ことを意味しますので、申告報酬へ
どう影響させるかは、開業税理士の
スタンス次第と考えます。
■改正内容2
相続開始前3年を超えた加算額につき、
合計100万円分の控除を創設
イメージとしては、
相続開始前3年以上7年以下の期間における
加算額につき、合計100万円分を控除しない
という理解になります。
相続開始目3年以上7年以下の毎年につき
100万円ではないので、注意が必要です。
■適用時期
大綱での記載は
「令和6年1月1日以後に贈与により
取得する財産に係る相続税について適用する。」
とあります。
つまり、令和5年12月31日までの贈与
により取得する財産に係る相続税については
従前とおりの扱いということになります。
換言すると、令和8年12月31日
までに相続が発生した場合には、従前とおり
の扱い(3年内贈与加算)となります。
影響を受けるのは、
令和6年1月1日以後の贈与になりますが、
相続開始日が令和9年1月1日以後は、
加算期間が順次延長されることになり
加算期間が最長7年になるのは、
相続開始日が令和13年1月1日以後の
場合となります。
例えば、
(1)令和5年12月28日に現金110万円
(2)令和6年1月10日に現金110万円
を贈与し、相続開始日が令和9年1月15日
とした場合、現行制度では贈与日は相続開始日から
3年を超えているため、加算対象とはなりませんが、
改正後は一部加算対象となります。
(1)の贈与は令和5年12月31日までの
贈与であるため、現行制度での扱いになるため
相続開始前3年以内か否かで判断します。
3年を超えているため、加算対象外となります。
(2)の贈与は令和6年1月1日以後の贈与
であるため、改正後の扱いに準拠します。
つまり、相続開始前7年か否かで判断します。
結果、7年以内に該当するため、
加算対象となりますが、100万円控除の
特別ルールが適用され10万円のみ
相続財産に加算されることになります。
■大綱文言検証(加算対象者)
大綱には
「相続又は遺贈により財産を取得した者が」
とありますので、現行制度(相続税法19条1項)
と同様の加算対象者であると推察します。
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