会計データは留置きの対象か?
※2020年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週水曜の本メルマガから引続き、
税務調査において会計データの提出義務は
あるのか(断れないか)について解説します。
先週の結論は、(会計)データは
質問検査権の対象外となることから
提示・提出義務はない、ということでした。
次に疑問に思うのは、義務である
「提示・提出」と「留置き」の違いでしょう。
これらは混同されがちな行為ですが、
「似て非なる」ものです。
この論点については過去のメルマガで
解説していますので下記をご覧ください。
簡単にいえば、「納税者に返還義務がない
データやコピーは留置きに該当しない」
ことになります。
そもそも留置きという行為に
強制力はありません(任意)から、
調査官が「会計データを留置きしたい」
(税務署に持って帰りたい)と言っても、
それは的外れな要請であって、
●会計データは留置きの対象にならない
(返還義務がないから)
●仮に留置きの対象であったとしても、
任意である以上は断ることができる
●会計データは提示・提出の対象ではない
(義務はない)
というのが、全体の正しい理解です。
ここでは、あくまでも法解釈を解説
していますので、コロナ禍のなかで
リスクなどを感じるのであれば、
税務調査の臨場時間を減らすためにも、
調査官の要請に(あえて)応じる
というのは実務上の判断であって、
会計データを出せばいいでしょう。
ただ現実的には調査官の中にも、
質問検査権の権限範囲である提示・提出と、
留置きの違いを理解していない担当者も多く、
会計データは調査対象(義務)だと
勘違いしているケースも多いのです。
会計データの提出を断りたい場合は、
上記の法的理解を示したうえで、
「コロナ禍であっても納税者(顧問税理士)
としては気にしませんので、現場で
元帳など(紙)を確認してください」
と伝えればいいのです。
今月から税務調査が再開され、
あたかも会計データの提出が義務かの
ように言う調査官もいるようですから、
ぜひ調査対応には気を付けてください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。