修正申告案は誰が作成すべきか?
※2017年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
税務調査において否認項目が発生し、
最終的に修正申告を提出するケースにおいて、
調査官によって大きく2つの対応方法に分かれます。
(1)税理士が修正申告の案を作成して
税務署にFAXして欲しいという調査官
(2)税務署で修正申告の案を作成して、その通りに
税理士に作成して欲しいという調査官
結論から言うと、私はすべての調査において
(2)で押し通すべきだと考えています。
(2)であっても、調査官から出てきた修正案は
もちろん内容を精査すべきですし、違うと思う点は
その旨を指摘すべきです。
(1)のケースだと、調査官は
「とにかく、修正申告を勝手に出さないでください」
「私が連絡するまで修正申告を作成しないでください」
と念押ししてくることがよくあります。
税務署(調査官)では、税務調査が収束に向かうことで、
下記の(事前の)やり取りが行われています。
調査官が否認項目・増差所得・重加算税のアリ・ナシを
一覧にして、事前に統括官にOKをもらう
(金額や重加算税の賦課によっては、
副署長・署長の事前OKをもらう)
⇒
その内容通りの修正申告書を収受をすれば
そのまま決議を上げる
⇒
事前OKと相違する修正申告書を収受すれば、
統括官等に相違する項目を再度説明等が必要
⇒
統括官等のOKがもらえなければ
修正申告書の再提出などさらに対応が必要
簡単にいうと調査官としては、税務署内で
事前に固まった内容と、実際に提出された
修正申告書の内容に相違がある場合、
事務手続きが煩雑になるわけです。
だからこそ、税務署としては修正申告の内容について
事前に調整が必要で、(1)や(2)どっちかの
事前やり取りが必須ということになります。
ここまで説明すると明白かと思いますが・・・
(1)を選択して、調査官とのやり取りを何度も
するくらいであれば、あえて(2)を選択した方が
やり取りは減りますし、会計事務所としても
(案を作らない分だけ)楽ということになります。
納税者の立場になって考えれば、
「納税者が納得した内容で修正申告書を
提出すればいいのでは?」となるわけですが、
調査官としてはそうはいかないわけです。
担当によっては(1)を提示してくる調査官もいますが、
「最終的にすり合わせる必要があるのであれば、
税務署が案を作ってこちらに提示してもらった方が
やり取りはスムーズですよね?」
と切り返せば、(2)にすることは可能です。
最後に繰り返しますが、(2)になっても
調査官が提示してくる修正案に齟齬や誤りがある
ケースもあります。内容は精査してください。
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