医業の概算経費適用ミスに注意!
※2020年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
当初申告から税額が減る場合、更正の請求をすれば
リカバリーできると思い込んでいる方は注意が必要です。
当初申告要件が大幅に廃止・緩和された今も、
更正の請求には要件があるので、理解されていない方は
まず下記をお読みください。
同様の論点として個人事業主の医業における申告で
注意が必要となる(更正の請求ができない)のは
「概算経費の特例(措置法26条)」です。
概算経費を選択して確定申告した個人の医者が、
経費率もしくは額の計算を誤り、
必要経費が過少になっていた場合であれば、
正しい必要経費額を算出し直すことで、
更正の請求をすることができます。
なぜなら「計算誤りがあった」からです。
一方で、当初申告で概算経費を選択し、
後になって実額で必要経費を申告した方が有利と
気付いた場合、更正の請求をすることはできません。
「法律の規定に従っていなかった場合」にも
「計算誤りがあった場合」にも該当しないからで、
最高裁判決でも判断されています
(最高裁昭和62年11月10日判決)。
なお、医業の概算経費の特例については、
当初申告要件の緩和措置はとられていません。
消費税の選択のみならず、所得税でも
後になって選択替えができない適用があり、
上記概算経費の特例はその最たるものです。
「当初申告より税額が減る=更正の請求ができる」
という安易な考えは危険ということです。
なお、「錯誤により」概算経費の選択をした場合、
修正申告によって選択替えができる、と判断した
最高裁判決もあり、さらに掘り下げて知りたい方は
「最高裁平成2年6月5日判決」における
判断部分を読んでいただければと思います
(錯誤が認められれば、選択替えによる
更正の請求もできるとする考えもあります)。
最後に、医業のみならずですが、所得税における
更正の請求については、法人税との考え方の相違、
また住宅ローン控除など実務・現実的な対応も
あり得ますので、下記も併せてお読みください。
更正の請求によってリカバリーできる
論点はいいのですが、上記のように
是正不能な論点については、要検討した上での
当初申告が必要となりますのでご注意ください。
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