反面調査を受けたら再調査に該当するのか?
※2017年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
つい先日、税理士さんから面白い質問を受けました。
「顧問先で反面調査を受けたのですが、
これって質問検査権の行使ですよね?
そうすると、反面調査を受けた対象年分は
再調査の規定に該当して、要件を満たさない限り
通常の税務調査は無いということでしょうか?」
結論から言うと、「違います」。
再調査の規定の適用はありません。
1つずつ整理していきましょう。
まず、反面調査とは何か?ということですが、
これは指摘のとおり、質問検査権の行使です。
法人税の調査においては、下記のように規定されています。
(他の税目でもほぼ同内容の規定です)
国税通則法第74条の2第1項第二号ロ
イ(注:法人)に掲げる者に対し、金銭の支払
若しくは物品の譲渡をする義務があると
認められる者又は金銭の支払若しくは
物品の譲渡を受ける権利があると認められる者
ここにあるとおり、税務調査の対象となった法人の
取引先等に(反面)調査を実施できることになります。
では、再調査はどのように規定されているのでしょうか?
再調査は、「質問検査権の行使を受けた年分には
再調査を行わない」という規定ではありません。
(大筋では合っていますが、詳細は違います)
国税通則法第74条の11第6項
第1項の通知をした後又は第2項の調査
(実地の調査に限る。)の結果につき納税義務者から
修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは
源泉徴収による所得税の納付があつた後若しくは
更正決定等をした後においても、当該職員は、
新たに得られた情報に照らし非違があると認めるときは、
第74条の2から第74条の6まで
(当該職員の質問検査権)の規定に基づき、
当該通知を受け、又は修正申告書若しくは
期限後申告書の提出若しくは源泉徴収による
所得税の納付をし、若しくは更正決定等を受けた
納税義務者に対し、質問検査等を行うことができる。
この規定は条文の引用が多いのでわかりにくいですが、
わかりやすく書けば、
【実地の調査を受けて調査が結了した年分について】
調査後に非違が認められる場合には
再度税務調査を実施することができる
という規定です。
税務調査の終了(結了)基準については、
前回のブログで解説しました。
一方で、反面調査は通常の税務調査とは
相違して、結了という概念はありません。
(反面調査の結果として、申告是認になることも
修正申告を提出することもありません)
ですから、反面調査を受けたとしても
再調査の規定には影響しないのです。
条文の規定がややこしいポイントです。
条文を再度読んできちんと理解してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。