取引相場のない株式評価に関する検討(7) ~純資産株価~
※2024年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、
「取引相場のない株式評価に関する検討(7) ~純資産株価~」です。
前回は、相当の地代に満たない地代を収受している場合
における純資産株価を検証しました。
今回は、無償返還届出書を提出している場合
における純資産株価を検証します。
以下の例は、「実際の地代」「無償返還届出書」以外は
前回と全て同じ設定です。
例:
土地所有者:個人(社長)
建物所有者:法人
借地権の設定:平成15年
無償返還届出:未提出
評価対象地の借地権割合:60%
通常の地代:240万円
相当の地代:600万円
実際の地代:240万円
土地の自用地価額:1億円(※)
※借地権設定時から不変
権利金の授受:無
被相続人:社長
株式所有者:社長100%
無償返還届出書:提出済
(1)借地権設定時
土地の賃貸借契約があるため、借地権の設定等として
無償返還届出書の提出済み。
結果、権利金の認定課税は回避されます
(法基通13―1―7(権利金の認定見合せ))。
また、同通達では、使用貸借であっても賃貸借と同様、
無償返還届出が提出されていれば、
権利金の認定課税が回避されることが明示されています。
(2)被相続人の相続発生時
無償返還届出書が提出されているので、
借地権評価額は零(ゼロ)となります。
個別通達:相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての
相続税及び贈与税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm
5 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額
また、貸宅地の評価額は以下のとおりです。
8 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価
自用地としての価額 - 0.8 = 8,000万円
土地について賃貸借契約を締結していますので
相続税実務としては、当該貸宅地につき、
小規模宅地等の特例適用
(特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等)
を続いて検討することになります。
仮に、土地につき使用貸借である場合には
土地は自用地評価する必要があります(同通達8(注))。
また、この場合には、
小規模宅地等の特例適用
(特定同族会社事業用宅地等、貸付事業用宅地等)
の検討余地はなくなりますので、ご注意ください。
さらに、純資産株価に借地権2,000万円を
計上するケースがあります。
根拠は同通達8によります。
―――
・・・。
なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けている場合には、43年直資3-22通達の
適用があることに留意する。この場合において、
同通達中「相当の地代を収受している」とあるのは
「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」
と読み替えるものとする。
―――
20%を計上するケースか否かは
取引相場のない株式評価に関する検討(5) ~純資産株価~
にて検討しているものと同様です。
つまり
「被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けている場合においては、」となっていることが
借地権20%を計上するための前提条件になります。
これを本ケースに当てはめると以下のとおりです。
被相続人(社長)が
同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けて「いる」ため
借地権20%を純資産価額に計上することになります。
仮に、
被相続人(社長の配偶者(妻))であれば
同族関係者となっている同族会社に対し
土地を貸し付けて「いない」ことになるため
借地権20%を純資産価額に計上しないことになります。
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