否認指摘を受けたらまず質問する
※2017年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
先日、「AI経営で会社は甦る」(冨山和彦著)を
読んでいて、このような記載がありました。
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「AI時代に残る仕事、なくなる仕事」
たとえば、会計士や経理の仕事はかなり減る。
杓子定規にやることが大事だからだ。
(略)
意外となくならないのは、税理士。
なぜかというと、税務署の判断はかなり曖昧で、
自由裁量に委ねられているので、交渉の余地があるからだ。
(略)
税理士は税務調査が入ると、必ず交渉が発生して、
それによっておみやげがあったりするから、
人間でなければいけないのだ。
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おみやげの話はさておき・・・
税務調査は単純に白黒がつかないことが多く、
交渉が必要であることは間違いない事実でしょう。
さて、税務調査において、うまく交渉する
秘訣というのは何でしょうか?
【否認指摘を受けたら、とりあえず質問する】
これは、かなり汎用性がある交渉方法です。
例えば、重加算税の指摘を受けた場合、すぐに
重加算税ではないことの反論をするのではなく、
「なぜ重加算税なんですか?」
「何を根拠にしていますか?」
などと、とりあえず調査官に質問するのです。
調査官もこう質問されると、
その理由や根拠を回答せざるを得ません。
重加算税の要件は国税通則法第68条にあるとおり、
「隠ぺいまたは仮装」ですから、
それ以外の根拠を調査官が回答してくれば、
「それでは重加算税にはなりませんよね」
「重加算税の要件を満たしていませんね」
と、簡単に反論することができます。
このように、質問から入れば、その回答根拠に
対して反論すればいいだけですから、
税務調査の交渉も非常に簡単になります。
一方で、否認指摘の根拠も明確になっていないのに、
それに対して反論するのは不可能ともいえます。
私に対する税務調査の質問・相談でも、
「○○と否認指摘されました」
とだけあって、その根拠や理由がわからない
(調査官に聞いていない)事案が多くあります。
これで、「反論方法を教えてください」は、
誰しもムリがありますことは明白でしょう。
税務調査での正しいやり取りは下記の流れです。
調査官から否認指摘
⇒ その根拠・理由を質問する
⇒ 調査官はその根拠・理由を回答してくる
⇒ 突き詰めて「○○ということですね?」と
念押しして根拠・理由をより明確にする
⇒ その根拠・理由に対して【のみ】反論する
この反論に対して、調査官が違う根拠をもって
さらに反論してくれば、同じことを繰り返します。
このようにすれば、論点が明確ですから、
やり取りがズレていくこともなくなります。
論点が明確になっても、反論方法が思いつかない
場合も当然あります。その場合は、
「いったん持ち帰って検討します」
としておけばいいのです。
その場で反論できなければ
否認されるわけではありません。
焦る必要はまったくないのです。
税務調査では、あえてすぐに反論せずに、
否認指摘の根拠・理由を質問することから
入ってください。これだけで反論が簡単になります。
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