国税による事業者等への協力要請・報告の求め
※2021年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回のメルマガは、税制改正・施行があってからいまだ
取り上げていなかった、国税の情報照会手続きを解説します。
平成31年度税制改正・令和2年1月1日施行において、
質問検査権を定める条文のうち国税通則法第74条の7の2
(特定事業者等への報告の求め)が追加されており、
併せて調査通達に第3章が追加されています。
これは、国税における情報照会手続きの拡大です。
今までは「任意の照会」であった内容・事項に関して、
国税が機動的に情報収集できるように法改正されました。
今回の改正内容を具体的にイメージしていただくとすると、
●法定調書の提出:法定の情報収集
=法定調書の範囲外は情報収集できない
●反面調査:取引先等に対する事実等の確認
=取引先等でなければ質問検査権は及ばない
これらの間に存在する情報収集行為といえるでしょう。
法改正の趣旨からすると、インターネット取引や
シェアリングビジネスなどの取引の相手方、または
取引の場を提供する事業者(特定事業者等)に対して
協力要請・報告の求めができるとするものです。
例えば、ビットコインなど暗号資産の取引に関して、
無申告者もしくは申告漏れの納税者を把握することは
非常に困難だという現実がありました
(そのため、法定調書の範囲が拡大されました)。
今までであれば、暗号資産関連の事業者に対して
税務調査をあえて実施し、その取引情報を得るという、
国税内では「開発部門」が情報収集を実施していた
わけですが、これも非常に効率が悪いということから、
このような法改正が行われたということでしょう。
大きくは2つの情報収集手続きが法定化されました。
「事業者等への協力要請」:事業者及び特別な
法律により設立された法人に、国税に関する調査に関し
参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は
提供その他の協力を求めることができる
「事業者等への報告の求め」:高額・悪質な無申告者等を
特定するため特に必要な場合に限り、事業者等に対して、
より実効的な形により情報照会を行うことができる
なお、本改正(国税の情報照会手続きの拡大)について
詳細を解説するとキリがありませんので、法律・通達に
併せて下記の事務運営指針も参考にしてください。
私もまだ、上記法律を根拠とした協力要請・報告を
見たことはありませんが、今後は照会が増えると
推察できますので、これを機にぜひ理解してください。
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