国税のDX化:税務調査関連
※2021年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
早いもので今年最後のメルマガとなりました。
本年も昨年に引続き、コロナ禍の影響を大きく受け、
税務調査の件数が激減~緊急事態宣言明けの秋に
税務調査が集中という異例の状況になりました。
来年は第6波などがなく、確定申告期限が
延長されないなど、通常化を望むばかりです。
さて、今年6月に国税庁から発表された
税務行政のDX化に関して、今月には
その具体的なスケジュールが明示されました。
「税務行政DX~構想の実現に向けた工程表~」
https://www.nta.go.jp/information/other/data/r03/zeimugyosei/pdf/0021012-075.pdf
この公表内容について、主に
税務調査に関連する部分を取り上げます。
すでに本メルマガでも取り上げた、
実施済みの内容として、国税の「金融機関への
オンライン照会」が挙げられます。
これに関する詳細および影響に関しては、
今年10月20日に配信した本メルマガ
「税務調査への影響は?銀行への預貯金の照会が
オンライン化」【税務調査対策メルマガVol.1035】
を参照してください。
国税のオンライン照会に関しては、以後
金融機関のみならず保険会社やその他官公署
にも広がっていく予定です。
また、少し驚いたことに「リモート調査」が
具体的にスケジュール化されています。
あくまでも「大規模法人を中心にWeb会議
システムなどを利用したリモート調査を実施」
とされていますが、令和4年後半から実施され、
令和5年には実施拡大予定とされています。
さらに納税者側から見えない動きではありますが、
KSK(国税総合管理)システムのBA化は
確実に進行しているようです。
BA=ビジネスアナリティクス(Business Analytics)
で、国税内で蓄積したデータ・情報をツールで分析、
次のアクションに繋げることを指しています。
国税の表現では「潜在的な高リスク納税者の
抽出モデルを構築」とされていますが、
これはもともと国税が狙っているところで、
調査官(人間)が調査先を選定するのではなく、
KSKがデジタル的に選定するモデルです。
今更感もありますが、来年4月から法定調書の
読み取りにAIーOCRを活用することから、
法定調書の情報との突合も本格的に始まり、
調査選定に影響を及ぼしそうです。
また、国税内のシステムは現在、
●e-Tax ⇒ KSKへ取込み(別システムで運用)
●KSK内の課税部門別管理(法人課税・
個人課税・資産課税などは連携していない)
となっていますが、この構造を少なくとも
納税者を一元管理にする「統合データベース」
として「次世代システム」に移行するのが
令和8年度とされていることから、
縦割りの情報管理から、まさに一元管理への
移行がますます強まってきます。
税務調査のあり方というよりは、調査先の
選定方法が大幅に変わりそうですし、
さらには選定時には漏れ・誤りが相当部分
把握されているという状況になりそうです
(連年の所得から相続財産の推測など)。
今年も本メルマガをご愛読いただき、
誠にありがとうございました!
来年も有用・有益な税務情報を発信し続けて
いきますので、引続きよろしくお願い致します。
よいお年をお迎えください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
著者情報