外注費と給与の区分・判定基準(2)
※2019年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回金曜の本メルマガから引続き、外注費と
給与の区分に関してさらに解説をします。
前回は消費税法基本通達1-1-1を取り上げ、
その要素・項目における総合勘案によって
外注費か給与を区分することになると書きました。
一方で、税務調査の現場における調査官にとって
一義的な否認指摘の根拠としては「実質判断」よりも
【形式判断】によるものがほとんどかと思います。
例えば、調査官がよく言う指摘根拠として
「外注の相手方は申告していませんよ」
というものがあります。支払相手方が申告しているのか、
また事業所得で申告していることと、支払った側の
処理が外注費であるか給与であるか、本来は
関係がないとは感じるものの、これが
現実的な否認指摘の根拠になっているのも事実です。
また、よくある否認指摘の根拠は「請求書」です。
外注費だというなら、他の取引先と同じように
相手方から請求書が発行されているはず、
というのが調査官の論理です。
支払日も同じです。私も同じようなケースを多数
見たことがありますが、他社に対する支払いは
月末締めの翌月末払いに統一されているにもかかわらず
外注先(個人)の数名は、社員と同じ
月末締め翌10日払いになっているような場合。
この他に調査官が勘案する「形式基準」を
書き出せばキリがないので、ここで止めますが、
税務上の判断はあくまでも実態・実質としながら、
実際の税務調査では「外形・形式」によるものが
ほとんどであるため、否認されないためにはまず、
外形・形式を整えることの方が重要になります。
上記の判断要素であれば、「相手方に申告義務が
あることを注意喚起する、契約書等に明記する」
「請求書を発行してもらう」「外注費の支払を
給与支給日ではなく他社支払日と合わせる」
などが実務上大事ということです。
なお、東京国税局の内部資料である
「給与所得と事業所得との区分 給与?それとも外注費?」
(平成15年7月)に、調査官が判断基準とする
項目が載っていますので、下記転載します。
上記以外の形式基準も多数ありますので、
ぜひ参考にしてください。
■その他の判定事項の例
http://kachiel.jp/sharefile/190712_hanteijirei.pdf
来週金曜の本メルマガでは、同じく
外注費・給与の論点で「契約形態の相違による」
判断基準について解説したいと思います。
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