外注費と給与の区分・判定基準(4)
※2019年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週金曜の本メルマガから引続き、外注費と給与の
区分について解説しますが、今回は
「職業」という観点から考えてみましょう。
前回のメルマガでは、「(保険などの)外交員は
報酬と給与の両方が存在する場合もある」
ことを通達から解説しました。
その他、判断に迷う典型例としては、
いわゆる「一人親方」が挙げられます。
ご存知の方も多いと思いますが、一人親方が受ける
報酬(区分)については個別通達が定められています。
「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る
所得税の取扱いについて(法令解釈通達)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/091217/01.htm
また、この個別通達には質疑応答も出されています。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/091217/pdf/01.pdf
これらは詳細に解説がなされていますので、
私の方からは解説を省略させてもらいます。
また、実際の否認事例として見たことがあるのですが、
士業が顧問先法人の社外取締役・監査役に
就いていた場合に、役員報酬も併せて報酬
(受け取る方の事業所得)にしているケースです。
当然ながら、役員報酬は取締役・監査役としての
業務対価になりますから、別途士業報酬とは
区分して給与と取り扱われることになります。
税理士としてもらう報酬は事業所得ですが、
役員としてもらう報酬は役員報酬=給与です。
弁護士なども同じですから注意してください。
最後の項目となりますが、ホステス源泉について。
実務上は、多くのキャバクラなどが「10%源泉」
していることが多いと思いますが、実態からすると
給与として判断することがほとんどのはずです。
銀座や北新地などのクラブ(の中)では、
・ホステス自身が衣装等を全て購入・管理
・接客相手は自身の顧客
・ホステスは売上管理や売掛金の回収責任を負う
となっており、これらの事実関係から考えると
ホステス報酬と判断するのは当然でしょう。
一方で、昨今多くの店・ホステスは
・出勤日および出勤時間が決められている
・接客相手は店舗(雇用主)側の指示
・売掛金の回収義務などはない
・ノルマはない(歩合に反映はされる)
として、実態として空間的・時間的な拘束を
受けていることから、給与といえます。
多くの人は「他の店もそうだから」と言うわけですが
否認リスクがあるポイント、かつ多額になりますから
私は注意すべきだと考えています。
なお、ホステス源泉の判断基準について
詳しく知りたい方は、
・平成22年2月2日最高裁第三小法廷判決
・昭和56年4月24日最高裁第二小法廷判決
の判決文をお読みください。
今回で、外注費・給与の区分は終わりにして、
経済的利益・源泉徴収義務の別論点を解説します。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。