専従者給与と専従者控除の異同点
※2019年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
申告所得税の税務判断・処理・申告をするうえで、
意外に理解されていないのが「専従者給与(控除)」。
今回と次回で2回に分けて
「専従者給与(控除)」について解説しますが、
今回は「専従者給与と専従者控除の異同点」です。
超基本的なので、誰でも理解しているかと思いきや、
実務に直面すると意外に深い論点です。
まず、下記の国税庁ホームページをご覧ください。
「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
そもそも論から入りますが、白色申告の場合、
(生計を一にする)親族に給与を支払っても
必要経費にすることはできません。
一方で、白色申告の場合、実際には親族に給与を
支払っていなくても、86万円(もしくは50万円)
を必要経費として【みなす】という理解です。
その要件は「確定申告書にこの控除を受ける旨や
その金額など必要な事項を記載すること」です。
ここが根本的な違いになります。
逆に(青色の)専従者給与は申告書記載要件はなく、
届出などの要件さえ満たしていれば、例えば、
青色決算書に記載はしたが、申告書1表に記載が
漏れた場合であっても、当然に
必要経費として認められることになります。
また、専従者は控除対象配偶者・扶養親族には
該当しませんが、気を付けるべきは
生計を一にする親族の専従者になっている場合、
他の生計を一にする親族の控除対象配偶者・
扶養親族になることもできません。
この点はわかりにくいので、下記の
国税庁質疑応答事例を参照してください。
「青色事業専従者である妻」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/11.htm
さらに、勘違いされている方が非常に多いのですが、
事業主の事業所得が38万円以下の場合、
青色専従者の控除対象配偶者になります。
(事業主が扶養される側で専従者が扶養する側)
給与を払っている側が、もらっている側の
扶養に入るというのは感覚的におかしいと感じる
かもしれませんが、法的には要件を満たしています。
専従者と扶養の関係は考えてみると
非常にややこしいので注意してください。
次回は、専従者給与と認められるための要件
について掘り下げて解説します。
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