小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)の注意点
※2022年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)の注意点」です。
令和4年4月19日、最高裁の上告審判決にて
納税者の主張した路線価による評価が否定され、
国税側が勝訴したニュースは税理士に衝撃与えたことは
記憶に新しいかと思います。
上記に関する考察は各種メディアや実務家の多くが
発信していますので、本稿ではそれを受けて適用される
「貸付事業用宅地等」について検証します。
1.平成30年度税制改正の内容(貸付事業)
(1)条文確認(措法69の4(3)三)
被相続人等の事業(不動産貸付業その他政令で定めるものに限る。
以下この号において「貸付事業」という。)の用に
供されていた宅地等で、次に掲げる要件の
いずれかを満たす当該被相続人の親族が
相続又は遺贈により取得したもの
(特定同族会社事業用宅地等及び
相続開始前三年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等
(相続開始の日まで三年を超えて引き続き政令で定める
貸付事業を行つていた被相続人等の
当該貸付事業の用に供されたものを除く。)
を除き、政令で定める部分に限る。)をいう。
かっこ書きの
「相続開始前三年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等
(相続開始の日まで三年を超えて引き続き政令で定める
貸付事業を行つていた被相続人等の
当該貸付事業の用に供されたものを除く。)を除き」
が改正内容となります。
(2)改正の趣旨
従前は、総則6項でも問題となる
「相続開始直前に貸付用不動産を購入して、
相続税の申告では小規模宅地特例の適用し、
相続税の申告期限経過後すぐに当該不動産
を売却するという事例」が多発していました。
そこで・・・
「相続人の(貸付)事業を維持するための特例」という
小規模宅地特例の制度趣旨から逸脱行為を阻止するための
改正と言えます。
(3)例外規定
上記の条文における
(相続開始の日まで三年を超えて引き続き政令で定める
貸付事業を行つていた被相続人等の
当該貸付事業の用に供されたものを除く。)
が例外規定の部分になります。
原則:
相続開始3年前に貸付事業の用に
供された宅地等は50%減額の適用不可
例外:
相続開始前3年超、事業的規模*で
貸付事業をしていた被相続人が
相続開始前3年未満に新たに
貸付事業をした宅地等は、
50%減額の適用可。
*事業的規模
いわゆる「5棟10室」
(措通69の4-24の4(1)(注)、所基通26-9)
2.相続税申告における留意点
(1)貸付不動産の購入時期
相続開始前3年以内に購入したものか否か
毎回チェックする必要があります。
準確定申告でもその点を留意すべきと考えます。
そのうえで、
購入が相続開始前3年超であれば
他の要件を満たしていれば
貸付事業用宅地等の適用は可能です。
(2)相続開始前3年超、事業的規模
これに対して
購入が相続開始前3年以内であれば
被相続人の貸付事業が相続開始前3年超
事業的規模であるかのチェックが必須となります。
参照URL:国税庁 P20上段
総則6項が発動されるか否かは
貸付事業用宅地等に該当する前に
関与するものになりますので、
常に2段階で考える必要があります。
今後の相続税申告におけるチェックポイントとして
押さえておいていただけると幸いです。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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