従業員割引で給与課税されるケース
※2019年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
会社が扱っている商品・製品を従業員が購入する
場合において、特別な社内割引で購入できる
としている会社も多いのではないでしょうか。
割引販売した場合、理論上はその購入者たる
従業員に対して経済的利益を供与したことに
なるわけですが、給与課税しなくてもいい基準として
所得税基本通達36-23で下記と定められています。
○取得価額以上の価額で販売したこと
○通常売価の概ね70%以上の価額
○水平的・垂直的公平性が担保されていること
○一般的に消費する程度の数量
(転売目的等は禁止)
なお、本通達では「会社が提供する食事」と
「有価証券」は除かれており、食事については
別通達で基準を定めています。
さて、この通達では自社製品・商品が何であっても
上記の金額基準等を満たしさえすれば
経済的利益がなかったものと見做す
という話ではないことに注意が必要です。
下記の国税庁サイトをご覧ください。
「住宅の値引販売による経済的利益」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/26.htm
ここでは、「土地、建物等の不動産の値引販売
による経済的利益については、所得税基本通達
36-23の取扱いを適用することはできません」
と明記されています。
その理由としては、
・経済的利益の額が極めて多額で、
少額不追及の趣旨に沿わないこと
・不動産は一般の消費者が自己の生活において
通常消費するようなものでないこと
とされています。
通達だけを読むと「高額な自社商品はダメ」
などと書いていないわけですが、
本通達としては「(本来は課税するべきだが)
少額不追及として課税除外」という【趣旨】です。
少額不追及を趣旨とした給与課税除外には、
他にも下記のようなものが挙げられます。
・社内旅行や忘年会などの法人負担
・役員従業員に対する低利貸付け
・永年勤続者に対する記念品
上記のように通達を形式的に満たしていても、
経済的利益が高額になる不動産などは
給与課税の対象となりますので、
この点はぜひ注意してください。
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