従業員自身が社宅を指定したら経済的利益発生!?
※2019年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
金曜の本メルマガでは、すでに「役員の社宅」
に関する経済的利益について解説しました。
一方、従業員の社宅についてはあまり判断に迷う
論点もないと思い、本メルマガで取り上げるつもりは
ありませんでしたが、私も知らなかった考え方を
見つけましたので、注意喚起として解説します。
まず原則論として、従業員に社宅を貸付けた際の
取扱いは下記となっています。
「No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
しかし、経済的利益が発生しない賃料相当額
以前の問題として、「従業員自身が社宅を指定したら
経済的利益として課税する」という論点があります。
下記の書籍を引用しますのでご覧ください。
http://kachiel.jp/sharefile/190912_genbutukyuyo_683637.pdf
論点を要約・解釈すると下記になります。
○社宅の選択に制限等がなく、本人の
意志に任されている場合、通達の適用はない
○法人が契約者であっても、敷金・礼金などを
従業員が負担して返還を受けることも問題
○この場合、実質的に住宅手当の支給と同じ
(経済的利益として課税する)
上記の内容は、参照した書籍以外にも、
税務検索データベース等で同様の内容が
掲載されていることから、かなり信憑性ある
見解と考えてもいいでしょう。
税務調査で「従業員自身が社宅を指定したから」
という否認(指摘)された事案を知りませんが・・・
実際に否認されても困りますので、
上記の対策として、2つ考えられます。
・社内規程の確認・変更
「社宅規程」など社内規程において、
「従業員自身が指定する」等の文言は危険で、
「会社が指定する」としておくことです。
・税務調査での受け答え
税務調査では、間違った説明をしないことです。
あくまでも、「会社が指定した社宅である」
ことを説明することになります。
上記見解の前提となっている、敷金・礼金の負担が
法人だった場合はどう考えるのか?など
考慮すべき要素はあるものの、家賃の半額を
徴収しておいて経済的利益で課税されると
社宅の意味がなくなりますので、注意してください。
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