成年年齢引下げが税務にもたらす影響場面の検証(住宅取得等資金贈与)
※2022年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
前2回に引き続き、「成年年齢の引下げ」による
税務(資産税)等への具体的影響場面を検討します。
今回は、改正項目の影響場面のうち
「住宅取得等資金贈与」をピックアップします。
■住宅取得等資金贈与の要件確認
チェックリストNo2:
贈与を受けた年の1月1日において「20歳以上」であること
→この要件が令和4年4月1日から「18歳以上」であること
に引き下げられます。
つまり、18歳に達した日の属する年末を超えることが必要となります。
■適用場面(節税策の検討)
家族構成:父・母・長男
同居:父(建物所有者)・母・長男・長男妻(養子)・長男子(孫:19歳)
建物が老朽化しており建替え(良質な住宅)を検討している
(建替えに資金4,000万円が必要)。
父の保有財産は1.4億円(土地:5,000万円、建物500万円、預貯金8,500万円)あり、
相続税対策として長男妻を養子縁組している。
現在全員が同居しており、建替え後も同居する予定であり、
建替え資金は全て父が拠出する予定である。
また、令和4年度中に取壊・建築・引渡が完了する予定である。
ここで検討すべき節税策としては、
令和4年度税制改正大綱でも延長が明らかとなった「住宅取得等資金贈与」である。
全員の合計所得金額が2,000万円以下であるとした場合、
父が贈与するのは、長男・長男妻(養子)・長男子(孫)が考えられる。
その場合、改正前であれば長男子(孫)は成年年齢に達していないため、
父からの贈与実行は不可能となります。
そのため、父が贈与実行できるのは
長男、長男妻(養子)へ各1,000万円となり、
建物名義の割合は、
○父2,000万円(持分2分の1)
○長男1,000万円(持分4分の1)
○長男妻(養子)1,000万円(持分4分の1)
となります。
これに対して、今回の成年年齢引き下げにより、
父からの贈与実行が可能なのは、
長男、長男妻(養子)、長男子(孫)の3名となり、
建物名義の割合は、
○父1,000万円(持分4分の1)
○長男1,000万円(持分4分の1)
○長男妻(養子)1,000万円(持分4分の1)
○長男子(孫)1,000万円(持分4分の1)
となります。
このようなケースも十分に考えられますので、
クライアントへの周知徹底は必須となります。
実務上、注意をしてください。
また、今回は全員同居になりますので、
各持分所有者間が使用貸借であることを前提として、
長男・長男妻(養子)のどちらが相続しても
小規模宅地等の特例の要件を満たすことになります。
また、長男子(孫)も同居しているため、
遺言で特定遺贈をすれば小規模宅地等の特例を適用することは可能です。
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