所得税の調査結果が発表されました
※2016年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
前回は、法人に対する
税務調査の情報(国税庁発表分)を解説しました。
今回は、所得税(譲渡所得を含む)
に関する税務調査の情報を解説しましょう。
「平成27事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/shotoku_shohi/index.htm
※平成27事務年度=平成27年7月〜平成28年6月
個人に対する調査についての公表数字は、
そもそも区分が多くなっていますので、
その解説が必要なのですが・・・まず全体から。
所得税の実地調査件数は66,016件で、
前年よりも約3.4%ほど件数が減っています。
税務調査での否認割合は、
54,673÷66,016件=82.8%
となっており、裏を返すと
是認率が「約17%」しかありません。
法人の是認率「32%」と比べると、
はるかに高い否認率といえます。
毎年なのですが、所得税調査については
重加算税賦課率は発表されていません。
ただ、本税(増差税額)の額が680億円
となっていながら、加算税が118億円ですから、
重加算税の賦課率は、法人の約20%より
かなり高いものと予想できます。
さて、所得税調査の場合、区分が
(1)実地調査
1、特別・一般
2、着眼
(2)簡易な接触
の3パターンに分かれていて、それらを
まとめて「調査等」と規定されています。
https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/shotoku_shohi/sanko01.htm
これらの区分・分類は国税庁ホームページ上では
明確に定義されていませんが、
おおむね下記となっています。
実地調査(特別・一般):通常の税務調査
実地調査(着眼):調査の中で日数をかけない事案
⇒ 不動産所得や小規模事業者など
簡易な接触:税務署からの郵送・電話連絡など
(税務署内では「事後処理」と呼ばれています)
⇒ 扶養是正や一時所得漏れ
公表数字を注意深く見ると、「簡易な接触」
であっても加算税が課されています。
本税270億円に対して加算税7億円で、
加算税率10%を大きく下回っていますから、
加算税が課されない事案が多いということです。
これは一般的に、税務署からの連絡後に
そのまま修正申告すれば自主修正扱いとなり
加算税が課されない一方で、税務署からの連絡が
2回目以降になれば、「行政指導」ではなく
「税務調査」という扱いになって
修正申告に対して加算税を課す、という
取り扱いを税務署がしていることによるものです。
所得税調査については、否認率・重加算税賦課率
が高いという特色が明らかにある一方で、
簡易な接触であれば、加算税が課されないケースも
多いということが傾向としてわかります。
ぜひ対税務署の対応に生かしてください。
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