提示と提出と留置きの違い
※2018年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
私への質問で、「そもそも前提が違っているな」
と思うものに、税務調査(質問検査権)における
「提出」と「留置き」の違いがあります。
今回のメルマガでは、「提示」と「提出」と
「留置き」の違いについて解説します。
質問検査権については下記のように規定されています。
国税通則法第74条の2(一部抜粋)
その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、
又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは
提出を求めることができる。
ここにおける「提示」と「提出」の定義は
通達に規定されています。
国税通則法第7章の2(国税の調査)
関係通達の制定について(法令解釈通達)
1-6(「物件の提示又は提出」の意義)
法第74条の2から法第74条の6までの
各条の規定において、「物件の提示」とは、
当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該物件
(その写しを含む。)の内容を当該職員が
確認し得る状態にして示すことを、
「物件の提出」とは、当該職員の求めに応じ、
遅滞なく当該職員に当該物件(その写しを含む。)
の占有を移転することをいう。
この解説をあえて後回しにして、
先に「留置き」の定義を載せておきましょう。
国税通則法第7章の2(国税の調査)
関係通達の制定について(法令解釈通達)
2-1(「留置き」の意義等)(1)
法第74条の7に規定する提出された物件の
「留置き」とは、当該職員が提出を受けた物件
について国税庁、国税局若しくは税務署又は
税関の庁舎において占有する状態をいう。
非常によくある誤りは、「提出」を
「資料を税務署に提出=持って帰られる」
と、言葉の定義を間違っているケースです。
これでは「提出」ではなく「留置き」ですね。
あくまでも「提出」とは、税務調査の場で
調査官が資料等を手に取る(占有の移転)
行為を指しているのです。
ですから、税務調査の現場において、
「提示」と「提出」を区分することは不要で、
ほぼ同じと考えても問題はないでしょう。
「提示・提出」と「留置き」の区分は大事で、
その場で資料を確認するのか、税務署に
持って帰るのか、が分岐点になります。
なぜ、このような定義について解説したか
というと、【断れるかどうか】
について混同している方が多いからです。
「提示・提出」=断れません
「留置き」=断ることができる
提示・提出と留置きの違いは
きちんと認識しておかなければなりません。
さて、来週は「写し(コピー)」の
提出と留置きについて解説する予定です。
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