損金経理要件と更正の請求
※2019年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回は「損金経理要件と更正の請求」についてです。
法人税法においては、損金経理要件を定めている
項目がいくつか存在します。
・減価償却費
・未払使用人賞与
・貸倒引当金
・貸倒損失
・交換等の圧縮記帳
・資産の評価損
・繰延資産の償却費 など
損金経理要件と言うくらいですから、当初申告において
損金としていなければ、後から更正の請求をして
追加的な損金計上や増額は認められないことになります。
損金経理とは、法人税法第2条(定義)第二十五号
において、下記のように規定されています。
「損金経理 法人がその確定した決算において
費用又は損失として経理することをいう。」
法人税法74条1項では、「内国法人は、
各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、
税務署長に対し、確定した決算に基づき
次に掲げる事項を記載した申告書を
提出しなければならない。」とありますので、
当初申告には期限後申告も含まれます。
一方で、修正申告書は「確定申告書」とは
別に規定されている(法人税法2条36号)ので、
修正申告においても、損金経理していない
項目を追加もしくは増額することはできません。
損金経理要件は法人税法だけの規定ですから、
例えば、所得税(事業所得や不動産所得)で
減価償却費の計上を漏れていた、もしくは
計上金額が過少になっていた場合、
更正の請求をすることができます。
法人(税)の実務ばかりやっていると、
「減価償却費の金額は後から増やせない」
と思い込みがちですが、これは法人だけの
話であって、個人の場合は
当然に更正の請求の対象になります。
個人の確定申告をする際には、
当初申告要件を考えてなくていいのですが、
それ以外に申告書への記載要件などが
ありますから、そちらに注意を払うべきです。
確定申告の繁忙期になりますので、
来週金曜の本メルマガでは、所得税の申告で
更正の請求ができるケースとできないケース
について解説します(すでに解説した
寄付金控除や、家内労働者等の特例
などは除きます)。
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