日当の非課税要件と注意点(否認論点)
※2019年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
「日当が非課税とされる根拠とその意味」から引続き、
日当が非課税として認められる要件について解説していきましょう。
まず、勘違いされていることが多いポイントとして、
日当は(宿泊をともなわない)日帰りであっても
支給することができます。
前回解説しましたが、日当はあくまでも勤務地から
出掛けることに際して、従業員が負担しなければ
ならない費用に対する実費弁償です。
日帰りであっても、外出しているからこそ
「外食しなければならない」などの費用負担が
生じるわけですから、日当の支給対象となり得ます。
実際に税務署(調査官)も、税務調査
(日帰り)に対して日当を支給しています。
さて、日当の支給設定について税務調査で
否認されないためには、その【要件】を満たす
必要があるわけですが、要件は通達にあります。
所得税法基本通達9-3
(略)
(1)その支給額が、その支給をする使用者等の役員
及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている
基準によって計算されたものであるかどうか。
(2)その支給額が、その支給をする使用者等と
同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している
金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
この通達規定から日当の非課税要件は3つあって、
[1] 役員・従業員の全員が支給対象になっていること
[2] 支給額が適正なバランスになっていること
[3] 他社と比して高額ではないこと
のすべてを満たしていることです。
上記 [3] については、来週に譲ることにしますが、
[1] [2] については「水平的公平性と垂直的公平性」
が保たれているかどうかという論点です。
この論点については、以前に本メルマガで
解説していますので、下記をお読みください。
税理士・会計事務所が絶対にやってはいけない
指導ミスは、日当の支給を役員・全従業員に
設定していないことで、これは社内規程を
確認する必要があります。
現実的には一部の役員・役職者しか出張等がなく、
限定された人だけに日当が支給されていたとしても
それはあくまでも結果論であり、その事実を
もってのみ否認されることはありません。
また、規程がないことだけで日当が否認される
わけではありませんが、全従業員に日当の支給設定
している事実は規程を見せるしかないわけですから、
規程の整備と設定内容の確認はマストになります。
次回は、日当の適正額とは
いくらであって、いくらであれば否認されないのか
について解説します。
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